大河ドラマ「どうする家康」主演・松本潤さんが語る家康像 「”生きるか死ぬか”の選択の連続 それでも生き抜いた」

松本潤さん演じる徳川家康

1月8日(日)に放送が始まる大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。『リーガル・ハイ』『コンフィデンスマンJP』などを手がけた脚本家・古沢良太さんが新たな視点で徳川家康を描く。昨年10月21日に行われた合同取材会で、家康を演じる松本潤さんに話を聞いた。

家康役のオファーを受けたのは2020年11月。当時の心境について松本さんは、「本当にびっくりした」と語る。

「自分が大河ドラマに出演させていただく機会なんて、そうそうあるものではないと思っていたので、『なんで僕?なんで家康?』と驚きました。オファーをいただいた時点では、演じる自分の姿をイメージできなかったし、2020年いっぱいは嵐の活動に集中したかったので、一度はお断りさせたいただいたのですが、年明けまで返事を待っていただけて。年が明けて、新たなチャレンジをしたいという心境になり、また、僕を信じて待ってくださった方々の気持ちにこたえたいと思って決断しました」

家康は、これまで多くのドラマや映画で描かれてきた。過去の大河ドラマを振り返ると、主人公となった第21作『徳川家康』(1983年)、第39作『葵 徳川三代』(2000年)を含め、過去61作のうち24作に家康は登場する。誰もが知る徳川家康という人物に対して、松本さんはこれまでどんなイメージを抱いてきたのか。

「『狸おやじ』『恰幅のいいおじさん』。特に江戸幕府を開いた頃の年を重ねた家康のイメージが強く、ご年配の俳優さんによって演じられてきた印象がありました」

一方で、本作で古沢さんが打ち出す家康像は「ナイーブで頼りないプリンス」。弱くて繊細な若者が、弱小国の主の子として生まれたという理由で、否応なしに戦乱の渦に引きずりこまれていく。松本さんは、2022年6月にクランクインして以来、古沢さんが描く家康像に向き合い続けてきた。

「戦国時代は、『誰に味方するのか』『誰を裏切るのか』といった一つ一つの選択が生死を定めてしまう時代でした。特に家康が生まれた三河国(現在の愛知県東部)は、東の駿河に今川氏、西の尾張に織田氏と、強国に挟まれた国。家康の人生は、まさに生きるか死ぬかの選択の連続だったのだと思います。家康のすごいところは、死に直結する選択肢がありながら、運も味方して、結果的には生き延びる方を選択しつづけたということ。周りの人が殺されたり、病気で亡くなったりするなかで、家康は長生きしたからこそ太平の世を築けたのだと、演じながら実感しました」

家康の人生に影響を及ぼした今川義元(野村萬斎さん)

家康にとって大きな存在となるのが、今川義元と織田信長。本作では、家康は二人からどんな影響を受けるのか。

「義元は息子・氏真うじざねと年が近い家康に目をかけて、将来氏真を支える家臣の一人として、教育しました。義元の言葉や教えは、桶狭間の戦いの後にも家康の中に残り続け、血肉になっていきます。

一方で、家康は信長からもある種の『かわいがり』を受け、その記憶がトラウマとなって残り続けます。恐怖や尊敬、憧れ、自分は信長のようにはなれないという劣等感。家康は、さまざまな感情をとおして信長を見つめることになります。若いころの家康は受け身で、周りをみながら動くタイプでしたが、そのなかで重要なポジションにいたのが信長だったのではないでしょうか」

巴(真矢ミキさん)、瀬名(有村架純さん)ほか、今川勢の女性たち

「どうする?」と選択を迫られ、乗り越えたと思えば、また次の選択を迫られる。翻弄される家康を演じる日々のなか、癒しとなるのが「瀬名(家康の正室)や三河家臣団とのほのぼのとしたシーンを撮ること」だという。

「特に、家臣団を演じるみなさんと現場でお会いするのが楽しみです。甲冑を着て撮影するなど、様々な苦労を共有したからか、クランクインしてから早い段階でみなさんと関係性を築けました。家臣団の年齢層は幅広いのですが、『こういうふうにやってみましょう』などと、お芝居について思ったことを遠慮なく言えます。先輩方がそれを容認して、支えてくださるのもありがたいです」

愛知県や静岡県でのロケ撮影の合間や、2022年3月に放送された『どうする松本潤? 徳川家康の大冒険』などで、家康ゆかりの地をめぐった松本さん。特に印象に残った場所として「大樹寺だいじゅじ(静岡県岡崎市)」と「設楽原したらがはら決戦場(愛知県新城市)」を挙げた。

「大樹寺で松平家・徳川将軍家の代々のお墓や位牌がずらりと並んでいるのを見たときに圧倒され、これほど土地に深く根付いた人物を演じるのだと強く実感しました。

設楽原決戦場では、織田・徳川連合軍や武田軍が陣を敷いたとされる場所を見ましたが、敵同士の距離感が想像以上に近くて。この距離で銃や刀を構えて睨み合い、次の瞬間には戦が始まるという緊迫感をイメージすると、昔この場所で戦があったことがリアルに感じられました」

「ナイーブで頼りないプリンス」は岡崎城城主として独立し、三河統一を果たす。江戸幕府を切り開くのはまだまだ先のこと。年を重ねるにつれ、家康はどんな才能を発揮していくのか。

「家康は『誰が何をするか』にはこだわらず、『いかに早く成功させるか』を第一に考える人だったと思います。家康のすごいところは、すべてを自分ひとりでしようとしなかったことかもしれません。周りの人が得意なことを見極め、『託す』ことができる人だった。だからこそ、江戸幕府を開くことができたのだと思います。そんな才能が今後どのように描かれていくのか、楽しみにしながら演じています」
(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)

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