【プレビュー】年齢、性別にとらわれず「美しい人びと」を特集――「美しい人びと 松園からローランサンまで」 松岡美術館で2月21日から

美しい人びと 松園からローランサンまで
会場:松岡美術館(東京都港区白金台5-12-6)
会期:2023年2月21日(火)~6月4日(日)
休館日:月曜休館、月曜が祝日の場合は開館し、翌火曜が休館
アクセス:東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線白金台駅1番出口から徒歩7分、JR目黒駅東口から徒歩15分
入館料:一般1200円、25歳以下500円、高校生以下、障害者手帳をお持ちの方無料
※前期(~4月16日)、後期(4月18日~)で展示替えあり
※最新情報は、同館HP(https://www.matsuoka-museum.jp/)で確認を

貿易商から身を起こした松岡清次郎の蒐集品を展示する松岡美術館。そのポリシーは、自らの眼にかなった「美しいもの」を蒐集することだった。今回の展覧会は、上村松園の美人画をはじめ、鏑木清方、下村観山、伊東深水、さらにフランスのローランサン、ヴァン・ドンゲンらの女性像や男性像など、年齢や性別にとらわれない「美しい人びと」を描いた作品を展示するものだ。同時開催は「憧憬のペルシア」。

マリー・ローランサン 《若い女》 1937年
上村松園 《春宵》 1936(昭和11)年 [前期展示]

上村松園の《春宵》は、松岡美術館が長期休館を経て再開した後では、初公開となる。《春宵》は重要文化財の《序の舞》と同じ1936(昭和11)年の制作。桜花散る春の宵、年かさの女性の囁きに僅かに微笑む若い芸妓。その表情や仕草、化粧法や着衣、結髪など、美しく描き分けられている。松岡美術館の日本画コレクションで最も人気の高い作品だ。蹄斎北馬の《三都美人図》は江戸、大坂、京都の「美人」を描いている。葛飾北斎門下の北馬は、版本で名を馳せた後、名所を舞台にした肉筆の美人画を描くようになった。この作品でも、東西の女性風俗を細やかに描き分けている。

蹄斎北馬 《三都美人図》 江戸時代 三幅対 [後期展示]
大山忠作 《辨慶(市川団十郎)》 1985(昭和60)年 第17回日展

また、前期展示では、牛若丸と弁慶の主従が展示室に並ぶ。

2022年11月に十三代目襲名で話題を呼んだ歌舞伎役者・市川團十郎の名跡だが、今回展示されるのは、日展で活躍した大山忠作による十二代目團十郎の弁慶。1985(昭和60)年、十二代目が襲名披露公演で演じた『勧進帳』の舞台姿がモチーフで、成田屋(市川家)が江戸時代から信仰する不動明王が背後に配されている。その隣が、下村観山による桜花散るなか独り歩む牛若丸の絵。能楽の名門出身という観山が謡曲「鞍馬天狗」を下敷きに描いた二幅対で、優美に咲き誇る桜樹の根元に配された卒塔婆に、少年に待ち受ける悲劇の予感がただよう。

下村観山 《山寺の春》 1915(大正4)年 二幅対 [前期展示]
松室加世子 《燭光》 1985(昭和60)年 再興第70回院展

同時開催は「憧憬のペルシア」。東洋美術の三大潮流といわれるペルシア、中国、インドの作品を、松岡清次郎は追い求めた。文明の十字路と称され、多民族が行き交ったペルシア。その地で育まれた陶器は、異国情緒あふれる器形、変化にとんだ文様の面白さが特徴だ。ユニークな表現の人物像や鳥、山羊、牛などの動物文、文字、そして放射状に限りない広がりを展開する幾何学文といった特徴的な表現が器を飾る。さらに、光沢のあるラスター彩やターコイズブルーの美しい青釉陶器など、今も憧憬の的となっている魅惑的なペルシア陶器を16年ぶりに一挙公開する。

(美術展ナビ取材班)

《青釉藍緑彩花文皿》 イラン 12~13世紀