【開館レポ】「海洋堂フィギュアミュージアム ミライザ大阪城」(12月12日オープン)で日本のフィギュア文化の軌跡をたどる

エントランスでお出迎えする約2メートルのシン・エヴァンゲリオンの巨大フィギュアと海洋堂専務の宮脇修一さん

食玩ブーム、フィギュアブーム、ガチャガチャ(カプセルフィギュア)ブームと数々のブームを巻き起こしてきたフィギュア制作のパイオニアで最大手の株式会社海洋堂(大阪府門真市)が12月12日、「海洋堂フィギュアミュージアム ミライザ大阪城」を大阪城天守閣に隣接する「ミライザ大阪」内にオープンしました。

大阪城天守閣(左)に隣接する「ミライザ大阪城」

全国に海洋堂の施設は7館ありますが、「フィギュアミュージアム」を冠しているのは、2005年に開業した滋賀県長浜市の「海洋堂フィギュアミュージアム黒壁 龍遊館」に次ぎ2館目です。フィギュアファンに向けた他施設と比べ、「フィギュアミュージアム ミライザ大阪」はインバウンドなど観光客をターゲットにしています。海洋堂専務取締役、龍遊館代表取締役社長の宮脇修一さんは「日本のフィギュア文化への入り口として気軽に楽しめるよう幅広く網羅しています」と話します。「こんなすばらしい作品をつくっているんやで!エッヘンという気持ち」と胸を張る宮脇さんに、海洋堂フィギュアの軌跡とともに案内してもらいました。

始まりはウルトラ怪獣

ウルトラ怪獣

1964年に「創るたのしみをすべての人に」と大阪府守口市の一坪半の模型屋から始まった海洋堂。1984年に大きな転換期を迎え、フィギュアの手作りガレージキットを生み出し、自社開発・製造・販売をおこなうオリジナルフィギュアメーカーに転身しました。
「今でこそ、たくさんのフィギュアメーカーがありますが、海洋堂が始めるまで、日本にフィギュアを扱うジャンル(フィギュアビジネス)そのものが無かったのです。フィギュアを扱う会社は、海洋堂に感謝せな、あきませんね(笑)」と宮脇さん。

約40年前に海洋堂がライセンスを取得し、初めて制作したフィギュアが円谷プロダクションのウルトラ怪獣だそうです。そのため、特撮のエリアから展示はスタートします。

ウルトラセブンとウルトラマン

館内には、約3000点の様々なジャンルのフィギュアがあり、モチーフごとに10のエリアに分けて展示。なかでも特撮映画のガレージキットは、初期の海洋堂の主要モチーフでした。映像の世界から飛び出してきたウルトラマン、ウルトラセブン、ゴジラなどのリアルさ!そして、その精密さに驚かされます。

ゴジラシリーズ
ハリウッド映画も初期の海洋堂のガレージキットになりました。映画のワンシーンを切り取ったようなリアルな表情のスターウォーズ

海洋堂のガレージキットの特徴は、「ものづくりの楽しさ」「精密さ」に、「作家性」(表現力)がプラスされている点。「すばらしい造形師が居てこそ!」と宮脇さんは力を込めます。

可動フィギュアの躍動感とシーンの再現性

アニメ「エヴァンゲリオン」の綾波レイのライフサイズ(人間サイズ)フィギュア=上の写真=が出迎えるマンガ・アニメエリアでは、2006年から海洋堂に所属した造形師・山口勝久さんによる「リボルテックシリーズ」を中心に展示。リボルテックとは、海洋堂が開発した汎用関節「リボルバージョイント」を使用した新たな可動フィギュアのことです。各マンガ・アニメのキャラクターたちの躍動感あふれる名シーンの再現性に注目です。

リボルテックシリーズ

海洋堂は、往年のアニメ・マンガ作品から現代の人気作まで、ありとあらゆるジャンルの作品でフィギュアを制作しているのも特徴です。

日本を代表するキャラクター初音ミク

美少女フィギュアに光を当てて文化に

BOMEさんの美少女戦士セーラームーン

海洋堂で特筆すべきジャンルのひとつが「美少女フィギュア」。2022年12月の文化庁メディア祭で文化庁長官賞を受賞した海洋堂所属の造形師・BOME(ボーメ)さんは、フィギュア黎明期から美少女フィギュアを造り続けて、その分野を確立したパイオニアであり、立役者です。
「それまでいかがしいと思われがちだった美少女フィギアにちゃんと光が当てられるようになりました。カルティエ現代美術財団主催の企画展に招聘されるなど美術界からも注目を集めています。美少女フィギュアは日本が生み出した最高の文化ですよ!」(宮脇さん)

食玩ブームと「当て物」文化

北陸製菓の人形の国のアリスフィギュアコレクション

1999年、海洋堂所属の造形作家・松村しのぶさんの企画・原型で制作されたハイクオリティのチョコエッグ「日本の動物コレクション」で、食玩ブームが起こりました。発売から3年間で1億3000万個を売り上げるほどの人気となり、日本中にフィギュア文化が一気に広がったのです。

「今のガチャガチャブームの先駆けであり、小さいけれど安価で精密性があってコレクタブルな《当て物》文化もつくったのです」(宮脇さん)

村松しのぶさんの「ネイチャーモデル」シリーズ

宮脇さんが「世界一の動物の造形師」と語る村松しのぶさんのフィギュアシリーズ「ネイチャーモデル」は、まるで図鑑に命が吹き込まれ飛び出してきたかのようなリアルさ。動物に対する専門的な知識による裏付けと卓越した技術の確かさが作品から伝わってきます。映画「ジェラシックパーク」では海洋堂のモデルを参考にCGの恐竜が制作されたほど。

仏像にアート作品、様々なミュージアムグッズにも


研究者の監修を受けた精巧なミニチュアレプリカとして、数々の美術展や展覧会でグッズ制作を手掛けていることも有名です。2009年、東京国立博物館で開催された興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」では、海洋堂制作の阿修羅像フィギュア=上の写真=は、生産が追い付かないほどの人気で話題となりました。


「ドーンと鎮座する太陽の塔をぜひご覧いただきたい」と宮脇さん。時代を越えて愛され、大阪万博の功労者である芸術家・岡本太郎には特に思い入れがあるのだとか。岡本太郎の代表作「太陽の塔」のフィギュア=上の写真=のリアルな質感は必見です。

アルフォンス・ミュシャ作品のフィギュア

仏像や浮世絵などの日本文化だけでなく、アルフォンス・ミュシャなど、実に幅広いアート作品がフィギュアになってきました。

ガチャガチャブーム到来

プランクトンのフィギュア

食玩ブームの次に来たのはガチャガチャブーム。いわゆるカプセルフィギュアです。海洋堂は、“手のひらサイズの博物館”をテーマに「カプセルフィギュアQミュージアム」で神羅万象ありとあらゆる物をフィギュア化しました。引き続き人気キャラクターも手のひらサイズで立体化してきました。

ミュージアムショップはもちろん超充実

ミュージアムですばらしいもの観たら、思い出を持って帰りたいもの。「その感動をフィギュアでそのまま持って帰えることができることこそ、海洋堂の魅力なのです」と宮脇さんは、ミュージアムショップについても大いに自慢してくれました!

購入できるフィギュアが並ぶショップ
海洋堂フィギュアミュージアム ミライザ大阪城
所在地:大阪市中央区大阪城1-1ミライザ大阪城B1(大阪城公園内)
開館時間:9:30〜17:30(最終入館は閉館の30分前まで)
休館日:不定休
入館料(プレゼント付き) :大人(高校生以上) 800円/子供(小・中学生) 400円
*プレゼントは2022年12月~2023年2月はフィギュア、以降は缶バッジ
公式サイト:http://www.ryuyukan-miraiza.net/

(ライター・いずみゆか)