【会見詳報】大河ドラマ「どうする家康」松本潤さん、有村架純さん、野村萬斎さん、制作統括・演出統括が見どころを紹介 「王道と覇道のせめぎ合いを描く」

左:有村架純さん(瀬名役) 中央:松本潤さん(徳川家康役) 右:野村萬斎さん(今川義元役)

2023年18日(日)に放送が始まる大河ドラマ「どうする家康」(NHK)。「リーガル・ハイ」や「コンフィデンスマンJP」などを手がけた脚本家・古沢良太さんが、新たな視点で徳川家康の生涯を描く。12月12日(月)に第一回「桶狭間でどうする」(初回15分拡大版)の完成試写会が開催され、試写会後の記者会見には徳川家康役の松本潤さん、家康の正室・瀬名役の有村架純さん、今川義元役の野村萬斎さんが出席した。

「第一回の中で印象に残ったシーンは?」という質問に対して、松本さんは「全部です」と振り返った。

「王道を目指す義元と、覇道を歩む信長。家康は、父のように慕った義元の教えを大切にしながら、信長の考えもミックスしていきます。そんな予兆が感じられる第一回でした。また、瀬名との関係、三河家臣団の成長など、登場人物がどのように戦国時代を生き抜いていくか。その始まりとなる部分が第一回に全て詰まっています」(松本さん)

有村架純さん

有村さんは、家康と瀬名の関係に着目。

「家康と瀬名の関係の深さが十分に描かれていると思います。第一回での二人の笑顔が、今後の展開において、切なさなど様々な感情を引き出してくれるものになったらいいなと」(有村さん)

野村萬斎さん

萬斎さんは、自身が演じる義元についての解釈も語った。

「義元の人物像はいろんな解釈があるようで、過去には“お歯黒をした公家かぶれ”という描かれ方もしました。ですが今回は、“文部両道”に優れた人物として描かれていて、なかでも義元の衣装や屋敷をとおして、禅の影響を受けた部分がクローズアップされています。そして、その世界観には、義元の精神性や彼が目指した『王道』が反映されています。桶狭間の戦いを経て泥まみれの時代がやってきますが、その後にまた、王道を受け継ぐ家康が現れる布石になればうれしいという思いで演じました」(萬斎さん) 

左:演出統括の加藤拓さん 右:制作統括の磯智明さん

会見後には、制作統括の磯智明さんと演出統括の加藤拓さんが登壇し、作品の見どころなどを語った。

「本作では、人徳で国をまとめる王道と力で国をまとめる覇道という二つの考え方がベースになります。古沢さんが描く家康は、王道の義元と覇道の信長、両方のいいところを取り入れながらも、義元から学んだ優しさや思いやりを一番大切にしていたのではないでしょうか。家康はきっと、戦国の世では生きづらく、ともすれば生きられない人物だったのかもしれません。そんな人物がどうやって天下を統一して、300年にわたる太平の世を築くことができたのかというところが、本作の面白さだと感じます」(演出統括・加藤さん)

演出統括の加藤拓さん

試写会ではタイトルバック(オープニング)にも注目が集まった。太陽をイメージしたモチーフなどが軽やかに展開していく、アニメーションのようなタイトルバックは、これまでの大河ドラマの中では珍しいと言えよう。タイトルバックに込めた意図について、加藤さんはこう説明した。

「戦国時代には、一括りにできないほど幅広い世界観があります。とくに長生きした家康の人生には、戦争だけではなく優しさや器の大きさといった側面もあったはず。ですから『これぞ家康』と特徴づけるよりは、あえて抽象的な世界観のタイトルバックにすることで、広がりや豊かさ、華やかさ、奥深さといったさまざまなことを表現したかったのです」(演出統括・加藤さん)

また本作では、バーチャルプロダクション(※)など最新技術をふんだんに取り入れて撮影に挑んだという。

LEDディスプレイなどに表示したバーチャル背景と、役者や道具などの被写体を同時に撮影し、融合する技術。

「スター・ウォーズの実写ドラマ『マンダロリアン』で話題を呼んだインカメラVFXを始め、従来のVFXも多用して、四苦八苦しながら戦国時代を表現しています」(演出統括・加藤さん)

「これまで大河ドラマの撮影を間近で見てきて、台風でオープンセットが流されてしまったり、猛暑でロケーション撮影ができなかったりと、気象条件が原因で撮影が思いどおりに進まないという課題を実感していました。また、本作で出演者が着用する鎧は重く、通気性も悪い。そういう状況の中で、戦国時代の世界観を表現するには、最新技術の導入が必須です」(制作統括・磯さん)

制作統括の磯智明さん

放送開始まで一か月を切った今、メインビジュアルや番組サイト、登場人物の扮装写真が公開されるなど、いよいよ盛り上がりをみせている。

制作統括の磯さんは、「明智光秀や織田信長を取り上げた大河ドラマ『麒麟がくる』は、若い人を中心に反響があり、『歴史の面白さを初めて知った』などという声をいただきました。『どうする家康』も日本の歴史や戦国時代のドラマの面白さを感じていただけるような作り方をしていきたいです」と意気込みを語った。

(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)