【探訪】大阪のアートスポットとして注目の「中之島」周辺のステキな建築を巡る

大阪府立中之島図書館の中央ホール

大阪市北区にある中之島。堂島川と土佐堀川に挟まれたこの中洲は、まるでパリのシテ島のようです。今年オープンした大阪中之島美術館など、近年新しい建物が増え、ますます活気に満ちている中之島周辺は、文化財となっている近代建築も数多く残っています。美術館や名所旧跡だけでなく、建物も魅力なこのエリアをいろいろ探検してみたい──ということで、ぐるっとお散歩してみました。(ライター・虹)

中之島エリア(北区)

中之島だけでも大阪中之島美術館や国立国際美術館、そして中之島香雪美術館、大阪市立東洋陶器美術館(改修工事のため2023年秋まで休館)などの施設が集まっています。アートスポットとして、とても濃密なエリアです。

2022年2月にオープンした大阪中之島美術館

【大阪市中央公会堂】

中之島のランドマーク的存在と言えば、大阪市中央公会堂。大阪の街を愛した市民・岩本栄之助氏の寄附をもとに1918年(大正7年)に竣工したこの建物は、100年を超えた今も様々な催しの場として活躍しています。2002年には公会堂建築物として西日本で初めて、国の重要文化財に指定されました。

特別室

威風堂々たるネオルネッサンス様式の外観に、華麗な意匠を凝らした内装は圧巻の一言。
公会堂内は地下1階の「展示室」と、「自由見学エリア」のみ常時公開されています。画像の「特別室」は、不定期開催のガイドツアーに参加することで見学することができます(要予約)。
ちなみにライトアップした姿も大変美しいので、夜に訪れる楽しみもありますよ。

大阪市中央公会堂
大阪市北区中之島1丁目1番27号
公式サイト:https://osaka-chuokokaido.jp/

【大阪府立中之島図書館】

大阪市中央公会堂のすぐ近く、ギリシア神殿のような佇まいが印象的なのが、大阪府立中之島図書館です。1904年(明治37年)、第15代住友吉左衛門の寄付によって大阪府内初の公共図書館として開館しました。
設計は野口孫市と日高胖。外観はルネッサンス様式を、内部はバロック様式を取り入れており、1974年には本館及び左右両翼の2棟が国の重要文化財に指定されています。

入館者を迎える中央ホールは壮麗で、思わずため息が出てしまうほど。見学は自由に行えますが、ガイドツアープログラムもあるため、そちらに参加してみるのも良さそうです。


館内には、北欧の伝統的な家庭料理であるスモーブロー(オープンサンド)を扱うカフェ「スモーブロー キッチン ナカノシマ」も。温かみのある店内は、散策の小休止に最適です。

大阪府立中之島図書館
大阪市北区中之島1-2-10
※開館時間、開館日などは公式サイトをご確認ください。
公式サイト:https://www.library.pref.osaka.jp/site/nakato/

西区エリア

【日本聖公会 川口基督教会】

中之島から橋を越え、少し行った先に見えてくるのが「日本聖公会 川口基督教会」です。
長崎に来ていた宣教師C.M.ウイリアムズが1869年に川口に移住し、翌年自宅の一室にチャペルを設けたのがこの教会の始まりでした。その後英語塾やミッションスクールをはじめ、病院などの施設が拡充。立教大学の前身となった英和学舎もそのひとつです。

1945年の大阪空襲、そして1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けましたが、そのたびに人々の協力があり、修復が行われてきました。現在、チャペルコンサートなどさまざまな催しが行われています。クリスマスの近い季節、ステンドグラスの美しいこの教会に足を運んでみてはいかがでしょうか。また、道を挟んだ正面には、人気の喫茶店「水鯨」もあります。

日本聖公会 川口基督教会
大阪府大阪市西区川口1-3-8
公式サイト:https://www.nskk.org/osaka/church/kawaguchi/

中央区エリア

【丼池繊維会館】

近代建築が数多く残る中央区船場。1922年(大正11年)に愛国貯金銀行の本館として建てられたこの建物もそのひとつです。「丼池どぶいけ繊維会館」となったのは、戦後、丼池筋に繊維問屋が集まるようになってから。建物は街の人々に買い取られ、コミュニティスペースのような存在として生まれ変わりました。

リノベーション時、ほぼ補修のみにとどめられた階段。木製手すりとクリンカータイルの床が美しい

以前は改修によって特徴的なファサードが覆われていましたが、2016年に行われた大規模なリノベーションで、オリジナルの部分を最大限に活かした現代的なビルへと変身。現在はギャラリーが入るなど魅力あふれる施設として、変わらず人々から愛されています。

丼池繊維会館
大阪市中央区久太郎町3-1-16
公式サイト:https://dobukan.com/

【青山ビル】

蔦に覆われた外観が見事なこちらは、「青山ビル」です。
1921年(大正10年)に、実業家の野田源次郎の個人邸として竣工。1947年に現オーナーの先代・青山喜一が譲り受け、戦後テナントビルへと転用されました。外壁の蔦は、なんと甲子園から株分けしてもらったものなのだとか。

オパールセントグラスなど多種多様なガラスを使い「モザイク」と呼ばれる技法が用いられている(この写真のみ青山ビル提供)

外観はスパニッシュ様式、内部はアール・ヌーヴォー調でまとめられており、随所に見事な意匠が光ります。

現在は、建物を彩る装飾を修復できる職人がいなくなっているのだそう。実際に訪れるとわかりますが、ステンドグラスや手すりなど、驚くべき技術が使われています。

見学や写真撮影の際は「青山ビル管理事務所」に連絡を。丁寧に案内をしてくれます。

青山ビル
大阪市中央区伏見町2-2-6
公式サイト:https://www.aoyama-bld-osaka.co.jp

歩くことで見えてくる大阪の街

このほかにも山ほど魅力的な建築を抱える大阪の街。実際に歩いて巡ることで、街の歴史や地形が見えてくるもの楽しかったです。
大阪ではこのような建築物を巡るイベント「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(通称:イケフェス)」も開催されています。普段は非公開となっている建物にも入れるなど貴重な体験ができるので、そういったものに参加して、まだ見ぬ大阪に出会うのも素敵ですよね。

また、大阪市内はコミュニティサイクルも充実しています。少し遠くまで街を見て回りたい方、たくさんの建物を見たい方に最適です。ぜひアートと合わせて、歴史が織りなす街の魅力を堪能してください。

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