ハイライト、絵本、映画ポスター 「和田誠展」学芸員のオススメ3点 北九州市立美術館分館で12月18日まで

北九州市立美術館分館(リバーウォーク北九州5階)で12月18日(日)まで開催されている「和田誠展」に展示されている作品の中からおすすめを3点、同館学芸員の落合朋子さんに解説してもらいました。

愛されるハイライトブルー

「ハイライト」パッケージ版下 1960年 多摩美術大学アートアーカイヴセンター蔵

和田誠は、1936年に大阪に生まれました。小さい頃から家の中で絵を描くことが好きだった和田は、55年に多摩美術大学図案科(現・グラフィックデザイン学科)に入学し、杉浦非水や山名文夫に学びました。大学3年生の時に、新人デザイナーの登竜門と言われた日宣美賞を受賞するなど、早くから頭角を現しました。

卒業後は、広告制作会社のライトパブリシティに入社。本作は、入社してすぐの指名コンペで採用された、たばこ「ハイライト」のパッケージデザインであり、和田の代表作の一つです。

「ハイライトブルー」とも称される青い背景に横文字がうかびあがるシンプルなデザインは、発売から62年たつ今も、人々に愛され続けています。

谷川俊太郎と多数の絵本

「とぶ」(文・谷川俊太郎)より 1978年 福音館書店 多摩美術大学アートアーカイヴセンター蔵

絵本を作ることは和田の子どもの頃からの夢であり、多くの絵本を手がけています。中でも、詩人の谷川俊太郎とは、とりわけ長く、様々な作品を制作しており、本作もその中の一つです。

空を飛ぶ夢を見たまことは、次の朝、空が飛べるような気がして、軽い気持ちで走ってみると、ふわりと空に浮かびました。コツをつかんだまことが、牧場の上、海の上、畑の上を飛んでいく過程が、見開きの画面にのびやかに描かれています。

和田は谷川のテキストには、過剰な説明がないので、自由な発想で描け、大胆な表現ができると語っています。

映画好き 無償でポスター

「新宿日活名画座」ポスター 1959年 ⒸWada Makoto

中学生の頃から映画が好きだった和田は、1959年に新宿日活名画座のポスターを描いてみないかと声をかけられます。無償でしたが、映画好きの和田は喜んで引き受け、9年間にわたり月平均2枚のポスターをデザインしました。本作もそのうちの一枚です。

その後、「お楽しみはこれからだ」という映画の名セリフについてのエッセーを執筆し、「麻雀(マージャン)放浪記」などで映画監督をつとめるなど、和田の映画に関する仕事は様々な形で展開していきます。

展覧会では、2000点以上の作品、資料から和田が83年の生涯にうみだした膨大な仕事を紹介します。描くこと、作ることを心から楽しんだ和田の姿が浮かび上がってきます。

和田誠展
会期:2022年11月19日(土)~12月18日(日)*会期中無休
会場:北九州市立美術館分館(北九州市小倉北区室町1-1-1 リバーウォーク北九州5階)
開館時間:10:00~18:00(※入館は17:30まで)
料金:一般:1200円/高校・大学生:800円/小中学生:600円

詳しくは美術館の展覧会公式サイトへ。