【BOOKS】朝倉三枝『もっと知りたいシャネルと20世紀モード』(東京美術)シャネルの創作をたどりながらファッション史を学ぶ

ファッションやジュエリーの展覧会は楽しいですよね。きらびやかなジュエリーやドレスで彩られた展示室の中にいるだけで、気持ちが高まってきます。こうしたファッション展を見るとき、ファッションの歴史や西洋の服飾文化などの基礎知識が頭に入っていたら、鑑賞がもっと捗ることでしょう。

鑑賞の土台づくりにぴったりの1冊が、朝倉三枝『もっと知りたいシャネルと20世紀モード』(東京美術)です。「もっと知りたい」シリーズは、アートビギナー向けに東京美術が手掛ける美術書籍の看板シリーズ。常にその分野のエキスパートが執筆を担当するため、信頼性の高い入門書として筆者も重宝しています。

シャネルの創始者ガブリエル・シャネル(1883年~1971年)は、20世紀を代表するカリスマ文化人のひとりでした。社交界での派手な交友や情熱的な恋愛など、ドラマチックな人生は伝記映画や格言集など、数多くのメディアで取り上げられてきました。

pp.8-9

※写真は許可を得て撮影

しかし、本書はシャネルの単なる評伝にとどまりません。本書の冒頭に「むしろ同時代のモードや美術、そして社会という文脈から、シャネルの創作の道のりをたどり直すことを試みる」と記載されているとおり、シャネルの生涯や業績をたどりながら、19世紀後半から現代までにいたるファッション史を合わせて学べるのが嬉しいです。

pp.24-25

たっぷりのビジュアルで、ドレスやスーツ、香水、ジュエリーといったシャネルの代表的な作品群が紹介されているので、紙上で展覧会を追体験しているような感覚で楽しむこともできるでしょう。

pp.38-39

また、クリスチャン・ディオール、イヴ・サンローランといった、シャネルとともに時代を動かしてきたファッションデザイナーや、ルネ・ラリック、エミール・ガレなど、関連分野で活躍した巨匠たちの作品なども取り上げられているので、それぞれ見比べながらシャネルのデザインを直感的に理解することができます。

定価は2,420円。購入は書店や東京美術のHPから各オンライン書店にて。

(ライター・齋藤久嗣)