【開幕レビュー】「ビーズ ―つなぐ かざる みせる」渋谷区立松濤美術館で来年1月15日まで 世界各地のビーズが大集合 一粒にこめられた文化や歴史に思いをはせる

【左】《女性用婚礼衣装》 南アフリカ 国立民族学博物館蔵 【右上】《仮面》コンゴ民主共和国 国立民族学博物館蔵(左) 《女性用装飾品》ケニア 個人蔵(右)【右下】《育児用お守り》 南アフリカ 国立民族学博物館蔵

「ビーズ ―つなぐ かざる みせる 国立民族学博物館コレクション」が11月15日(水)から来年1月15日(日)まで渋谷区立松濤美術館で開催されています。国立民族学博物館(大阪)のコレクションを中心に、世界各地のビーズが集結。開幕前の内覧会を取材しました。

ビーズの装いでハレの日を祝う

特に印象的だったのが、南アフリカの民族・ズールーの女性用婚礼衣装。全身にビーズをまとい、ウェディングケーキをイメージしたビーズ細工を手にしています。さまざまな色、大きさのビーズが織りなす華やかさに圧倒されました。

《女性用婚礼衣装》 南アフリカ 国立民族学博物館蔵

素材の多様性を実感

ビーズといえばガラス玉やパールなどを思い浮かべますが、実は、想像以上に多様な素材がビーズになり得ます。展示室には、注射針のカバー、動物の歯や骨、ウロコ……と、意外な素材でつくられたビーズがズラリ。身の回りにあるものも活用して、ビーズが生み出されていることがわかります。

《育児用お守り》 南アフリカ 素材:注射針のカバー 国立民族学博物館蔵
《首飾り》ブラジル 素材:ヒトの歯 国立民族学博物館蔵
展示風景

ビーズづくりの背景にも着目

なぜ、人々はビーズをつくるのか。その理由は装飾だけにとどまりません。魔除けや祈祷、地位や富の誇示など、ときには切実な思いがビーズに託されているのです。一粒のビーズに詰まった、その地域ならではの文化や思想、美意識に着目すると、より味わい深いです。

《コルセット》南スーダン 国立民族学博物館蔵
左:《仮面》コンゴ民主共和国 国立民族学博物館蔵 右:《女性用装飾品》ケニア 個人蔵
展示風景

ちなみに、ビーズを身に着けて来館すると、入館料が通常料金の2割引になります!世界各地を旅する気分で、ビーズの奥深い世界を探検してみてはいかがでしょう。

ビーズ ―つなぐ かざる みせる 国立民族学博物館コレクション
会期:2022年11月15日(水)~2023年1月15日(日)
会場:渋谷区立松濤美術館 (東京都渋谷区松濤2-14-14)
開館時間:午前10時 ~ 午後6時 ※金曜日は午後8時まで
(入館は閉館の30分前まで)
観覧料:一般800円(640円)/大学生640円(510円)/高校生・60歳以上400円(320円)/小中学生100円(80円)
※()内は渋谷区民の入館料
※土日祝は小中学生無料
※毎週金曜日は渋谷区民無料
休館日:月曜日(ただし1月9日は除く)、11月24日(木)、12月29日(木)~1月3日(火)、1月10日(火)
アクセス:JR・東急電鉄・東京メトロ 渋谷駅下車、徒歩15分 京王井の頭線 神泉駅下車、徒歩5分
詳しくは同館の展覧会HPへ。

(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)