国立劇場が2日間だけ「美術館」に! 平櫛田中の「鏡獅子」だけじゃない 鏑木清方、東山魁夷、朝倉文夫などの作品も

左から鏑木清方「野崎村」、川端龍子「天橋図」、堅山南風「鯉」

来年10月末に建て替えのため閉場する国立劇場(東京・半蔵門)で、12月11日(日)と12日(月)の2日間、大劇場のロビー見学やステージツアーなどが行われる「国立劇場オープンシアター」が開催されます。

国立劇場のロビーや休憩所などには、今年生誕150年の彫刻家・平櫛田中の「鏡獅子」、彫刻家・朝倉文夫の「九代目 市川團十郎之像」、鏑木清方の「野崎村」、東山魁夷の「雪原譜」などの作品が常設で展示されています。

左:東山魁夷「雪原譜」

しかし、これらを鑑賞するには、歌舞伎などの観劇料が必要なうえ、観劇の前後や休憩時間などに限られています。そのため、「初代国立劇場さよなら記念」の一環として、見学会が開かれることになりました。

なぜ絵画がたくさんあるのか?

1966年に国立劇場がオープンした際に、経団連(経済団体連合会)から寄贈されたもの。「わが国現代画壇の最高峰に立つ秀れた作家の手に成る日本画を集めて、そこここの壁面に掲げることができたらどんなに素晴らしいことであろうか(略)期待通りの立派な作品が続々取りまとめられて、まさに国立劇場画廊とでも呼ぶにふさわしいばかりの見事な陳列が完成したのである。(略)見事一堂に凝集して、坐して現代日本画壇の鳥瞰図を静かに手中におさめることができるのは、まことにこの国立劇場画廊ならではの壮観というべきであろう」と当時の国立劇場理事長・寺中作雄氏は『国立劇場画集』に記しています。

右:児玉希望「花と銀鶏」

500円で1日中 ロビー見学

両日とも午前10時半~午後7時まで(入場は午後6時半まで)。入場チケットは500円(音声ガイド料金込み)。建築様式や美術品、舞台機構などを、スマホの音声ガイドアプリ(日本語と英語)で聞きながら大劇場内を見学できます。音声ガイドは声優としても活躍する講談師の一龍斎貞友さん。

休憩所などにも作品は展示されている

歌舞伎の裏側を体感 ステージツアー

花道、廻り舞台、黒御簾など歌舞伎を上演する大劇場の機構を体感できるツアーが両日各4回行われます。

11日は、①午前11時から②12時半から③午後4時半から④午後6時から
12日は、①午前11時から②12時半から③午後2時から④午後3時半から
(*12日午後3時半の回は英語対応)

ロビー見学チケットと別に、参加チケット1000円(リーフレット付)が必要で各回30人限定。

平櫛田中=作『鏡獅子』レクチャー&デモンストレーション

11日は午後2時~3時まで、12日は午後5時から6時まで、1階ロビー正面の「鏡獅子」像の前に特設の舞台と着席スペースが設置。
生誕150年を迎えた彫刻家・平櫛田中(1872~1979年)についての講演(小平市平櫛田中彫刻美術館)と歌舞伎舞踊の名曲『春興鏡獅子』(後ジテ)がライブで演奏されます。着席チケットは1000円(リーフレット・記念品付き)で、各回80人限定。別途ロビー見学チケットが必要です。

「美術館の常設展」のように

国立劇場営業課の雨宮真樹さんは「伝統芸能の殿堂にふさわしい、劇場空間を彩る数々の美術品にも注目してください。見学時間の制限もないので、美術館の常設展を見るようにゆっくりと楽しんでください」と話しています。各作品の撮影もOK(個人利用)で、ステージツアーの際にも記念撮影の時間が設定されます。

チケット申し込みは11月18日(金)午前10時から(電話0570-07-9900インターネットとも)。窓口販売は19日(土)から。
(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)