【オペラ】新国立劇場で「ボリス・ゴドゥノフ」が開幕 ロシアの権力者の孤独と苦悩

ロシアの作曲家、ムソルグスキーが唯一完成させたオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」の新制作が11月15日、新国立劇場(東京・初台)で開幕しました。ロシア動乱時代に実在した皇帝、ボリス・ゴドゥノフを題材にしたプーシキンの史劇を元に、民衆の思いや有力者の策謀、権力者の孤独や苦悩など、ロシアの様々な階層の姿を重層的に描いた傑作です。

欧米で目覚ましい活躍をしているオペラ演出家、マリウシュ・トレリンスキを演出に迎えました。そのプロダクションは本作を史劇ではなく、ボリス・ゴドゥノフの心理に注目したドラマとしています。また人間の中に潜在する残忍さを赤裸々に描いてもいます。現代社会にも通じる視点で、パンデミックや戦争に直面する私たちに迫ってくる内容です。指揮は芸術監督の大野和士が務めます。
ウクライナの戦争をきっかけに、ロシアに関連した芸術作品を取り上げることの是非も特に欧州では議論になっています。今回の「ボリス・ゴドゥノフ」も実際に上演が中止になったり、上演をやめるよう求める動きが出たりしています。そうした社会と芸術との関係も含めて、今回の上演は大いに注目されそうです。
新国立劇場 開場25周年記念公演
ボリス・ゴドゥノフ<新制作>
プロローグ付き全4幕<ロシア語上演/日本語及び英語字幕付き>
<公演日程>
11月15日(火)14時~
11月17日(木)19時~
11月20日(日)14時~
11月23日(水・祝)14時~
11月26日(土)14時~
<予定上演時間>約3時間25分
<会場>新国立劇場(東京・初台)
詳しくは新国立劇場のホームページ(https://www.nntt.jac.go.jp/)へ。
(美術展ナビ編集班 岡部匡志)