「冨樫義博展 -PUZZLE-」展 音声ガイド担当のバカリズムさん 「熱量の高いファンの期待に応えられるよう」

「冨樫義博展 -PUZZLE-」で音声ガイドを務めたお笑い芸人、バカリズムさんにお話を伺いました。大の冨樫作品ファンとして知られるバカリズムさん、「熱量の高いファンに怒られないように」と緊張して収録に臨んだそうです。(美術展ナビ編集班 岡部匡志)
見事な戦闘描写に興奮
Q どんなきっかけで冨樫さんのファンになったのでしょうか。
A タイミング的には遅くて、30歳代の後半ぐらいですから、10年ほど前です。冨樫先生の作品が世間でさんざん話題になったあと、1冊をたまたま読んで、それでハマって、あとはまとめて購入して、と。
Q バカリズムさんはご自身もイラストや漫画を巧みに描きますね。「描く」という視点で冨樫先生の凄味はどこに感じますか。
A 戦闘シーンですね。小さいころから戦闘シーンがカッコいい漫画が好きになるし、カッコよくないと続かないほうでした。冨樫作品はとにかく戦闘描写が秀逸で、強いキャラクターの戦闘シーンは興奮します。独特の間合いというか、オリジナリティがあります。
Q となると今回の仕事はファン冥利につきますよね。
A そうなんですけど、喜びというよりプレッシャーの方が強いです。冨樫先生のファンは熱量が高い方が多くて、僕なんかよりずっと詳しい人がたくさんいるので、怒られないようにしないといけません。冨樫先生はもちろんとても頭の良い人でしょうし、作品について深い考察をされている人もいらっしゃるので、「こいつ分かっていないな」と思われないかどうか心配です(笑)。
緻密な設定にも驚き
Q 設定が緻密なのも冨樫作品の特徴ですね。
A そうなんです。少年誌とは思えないぐらい絵を描きこんで、かつルールの作りこみが緻密で、ある意味、常軌を逸しています。『HUNTER×HUNTER』の「念能力」のルールとか、カードゲームのルールとか、それだけで一個のゲームが作れるぐらいの密度でふんだんにアイデアを盛り込んでいます。そこが魅力で、圧倒的に秀でている部分だと思います。
Q 音声ガイドの収録でどんなところに気を付けましたか。
A 熱量が高く、詳しいファンの人たちをがっかりさせないよう、固有名詞などのイントネーションなどを細かく確認しながら収録しました。冨樫先生への思いもナレーションに入れているので、そういうところは気合を入れて読みました。「冨樫先生がそんなに好きなんだ」ということが伝われば嬉しく思います。

バカリズム 1975年、福岡県生まれ。1995年『バカリズム』を結成。2005年12月よりピン芸人として活動。テレビレギュラー番組を中心として活動するかたわら、定期的に単独ライブを行っており、発売と同時に即完売となる人気を誇る。特技はイラスト。
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「冨樫義博展 -PUZZLE-」は森アーツセンターギャラリー(東京・六本木)で2023年1月9日(月・祝)まで。11月12日(土)10:00より、12月1日(木)から始まる後期のチケットの発売を開始します。詳しくは公式サイト(https://togashi-ten.com)へ。