【プレビュー】「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」大阪中之島美術館と国立国際美術館で10月22日から

大阪中之島美術館 国立国際美術館 共同企画
すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合
会場:大阪中之島美術館 5 階展示室 、国立国際美術館 地下2 階展示室
会期:2022年10月22日(土) ~ 2023年1月9日(月・祝)
開場時間:10:00-17:00 *国立国際美術館は金・土20:00まで(入場は閉場の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし、1月9日[月・祝]は両館開館/1月2日[月・休]は大阪中之島美術館のみ開館)
*大阪中之島美術館は12月31日(土)、1月1日(日・祝)休館
*国立国際美術館は12月28日(水) – 1月3日(火)休館
観覧料:
2館共通券 2,500円
大阪中之島美術館 一般1,400円/大学生1,100円
国立国際美術館  一般1,200円/大学生700円
詳しくは各館公式ホームページへ
大阪中之島美術館:https://nakka-art.jp/exhibition-post/gutai-2022/
国立国際美術館:https://www.nmao.go.jp/events/event/gutai_2022_nakanoshima/

大阪中之島美術館と、道路⼀本を隔てて隣り合う国立国際美術館の共同企画となる展覧会「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」が、10月22日から 2023年1月9日まで開催されます。

展覧会の主題となる具体美術協会(具体)は、1954年に兵庫県の芦屋で結成され、画家の吉原治良(1905-72年)を中心に18年間活動した美術家集団です。「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示」しようとした具体のメンバーたちの模索と軌跡は現在でも国内外で注目を集めています。具体が解散して50年の節⽬となる今年、「分化と統合」というテーマで、新しい「具体」像の構築を目指して、展覧会が開催されます。

具体の活動拠点である「グタイピナコテカ」が建設された地、大阪の中之島の2美術館で開催される本展は、その歩みを「分化」と「統合」というふたつの視点からとらえなおします。大阪中之島美術館では具体を「分化」させ、それぞれの独創の内実に迫り、国立国際美術館では具体を「統合」し、集団全体の、うねりを伴う模索の軌跡をたどります。

具体を「分化」する
分化 大阪中之島美術館

「分化」をテーマとする大阪中之島美術館では、具体の制作からいくつかの要素を抽出し、個々の制作のありようをこまかに検証します。

吉原治良の「人のまねをするな、今までにないものをつくれ」という言葉によって、具体は常に先駆性と独創性とともに語られていますが、多様であることを前提として、どのような表現が受け容れられてきたのか最大限可視化することで、具体というグループの本質に迫ります。

吉原治良「作品」1962年、油彩、カンヴァス、東京都現代美術館
田中敦子「電気服」1956/86年、管球・電球・合成樹脂エナメル塗料・コード・制御盤、高松市美術館
撮影 | 加藤成文 ©Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association

松谷武判「繁殖 65-24」 1965年、ビニール接着剤によるレリーフ・油彩・アクリル、カンヴァス・合板、国立国際美術館
白髪⼀雄「天暴星両頭蛇」 1962年、油彩、カンヴァス、京都国立近代美術館

具体を「統合」する
統合 国立国際美術館

出発点においては、「画家」集団であった具体。時代が下るにつれ多様化していく造形実践の数々も、絵画という規範からの自由をめざした結果と言えるでしょう。

国立国際美術館の展示では、マクロな視点に立って具体のあゆみを展望。さまざまに展開される問いなおしの作業に、いくつかの傾向を見出すことを試みます。

絵画らしさをいかに解体し再構築したか、絵画「らしさ」をどう捉えているのか、また、それを解体してなお絵を描こうとするのか否か。一枚岩でない具体という集団の内なる差異をあぶりだし、そのうえで「統合」を試みます。

ヨシダミノル「JUSTCURVE ’67 Cosmoplastic」 1967年、ステンレス・プラスティック・蛍光灯・センサーほか、 高松市美術館
村上三郎「作品」1957年、ミクストメディア,板、芦屋市立美術博物館、©MURAKAMI Tomohiko
吉原治良「作品C」 1971年、アクリル,カンヴァス、大阪中之島美術館
山崎つる子「Work」  1960年、油彩・エナメル,カンヴァス、国立国際美術館

インターナショナル スカイ フェスティバルの再現

関連イベントとして、大阪中之島美術館では2022年11月15日(火)~ 20日(日)の期間中、具体の空中展覧会「インターナショナル スカイ フェスティバル」が再現されます。「インターナショナル スカイ フェスティバル」は、具体が1960 年に大阪・なんば髙島屋の屋上で実施したもので、具体の会員や海外の作家による下絵を拡大して描き、アドバルーンに吊って空中に展示しました。当時の発表内容とは異なりますが、大阪中之島美術館の屋上より、7球のアドバルーンが掲揚され、大空での展覧会を体感することができます。(荒天の場合は日程変更)

(読売新聞美術展ナビ編集班)