【街のアート】岡本太郎《みつめあう愛》 《太陽の塔》と同じ大阪・吹田市にある巨大壁画

記録的な猛暑だった夏も終わり、街を気持ちよく散策するのに最適な季節となりました。10月18日(火)から上野の東京都美術館で始まる「展覧会 岡本太郎」に合わせて、散歩の途中でも気軽に楽しめる、屋外に設置されている岡本太郎の作品を訪ねてみました。
みつめあう愛
岡本太郎といえば、1970年に開催された大阪万博のシンボルとなった《太陽の塔》が一番最初に思い浮かぶのではないでしょうか。その代表作のある「万博記念公園」と同じ大阪府吹田市内に、ほかにも凄い作品があると聞いて、うかがってみました。

新大阪駅から大阪メトロ御堂筋線を千里中央方面へ2駅行くと江坂駅に到着します。その駅からほど近いダスキン本社ビル2階のオープンスペースに《みつめあう愛》という大きな壁画がありました。
インパクトのある2対の目が見つめあう、情熱的な作品です。1990年に本社ビルを竣工する際に、これまで関わりのあった岡本太郎に制作を依頼。除幕式には本人も参加しています。人や地域をしっかりと見て、逆にまた見てもらえる存在でありたいという、同社の願いも込められているそうです。

大きさは縦8㍍、横4.5㍍。880ピースの信楽焼から成り、使った土の量はなんと13㌧。壁画の周りはオープンテラスになっていて、テーブルやイスも置かれており、天気の良いときは近くのビジネスパーソンがランチを楽しんだりしています。23時~5時以外は、誰でも入ることができる憩いの場です。

巨大壁画は作られてから32年が過ぎましたがピカピカです。さすがはお掃除の会社ダスキン。半年に一度、足場を組んで拭いているそうです。同社広報部の杦野雪絵さんは「設置されてから30年以上経った今でも関心を寄せてもらえる作品があることは、この会社に勤めていて誇らしく思います」と話します。
CMにも登場
岡本太郎はダスキンの「フリーサイズマット」という商品のCMにも出演していました。「展覧会 岡本太郎」の大阪会場でも流れていました。国際的なCMコンテスト、国際放送広告賞の部門賞も受賞しています。

球体を落とすと、足元の「顔」が赤から青に変化する印象的な作品です。
リオちゃん

ダスキン本社の向かいにある豊津公園には、「リオちゃん」というオブジェがありました。実はこの作品が、ダスキンと岡本太郎を結びつけました。

江坂には、同社の経営で1983年にオープンした「カーニバルプラザ」という大型レストランがありました。カーニバルという店名から、リオのカーニバル→太陽→太陽の塔と連想し、岡本太郎に看板のデザインを頼んだそうです。作品に名前はなかったものの、市民から「リオちゃん」の愛称で呼ばれるようになりました。
レストランは残念ながら2007年に閉店しましたが、看板は市に寄贈され、2011年からこちらで飾られ、遊ぶ子供たちを見守っています。

「みつめあう愛」と「リオちゃん」は、11月9日から、大阪の夜を美しく輝かせる「大阪・光の響宴2022」のエリアプログラムとして、初めてライトアップされることになりました。昼間と違う表情が見られるのも、また楽しみですね。(美術展ナビ編集班・若水浩)
🔶ダスキン本社
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秋も深まり、街を散策するのにふさわしい季節になりました。値上げのニュースが続くなか、公園などの公共空間にあり、無料で楽しめるパブリックアートを「街のアート」のタイトルで随時掲載していきます。
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