【次回のぶら美】もうひとつの「鎌倉殿」の物語 横須賀美術館「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」展 BS日テレで10月18日アンコール放送

【BS日テレ ぶらぶら美術・博物館】
★第411回 天才仏師・運慶に迫る!横須賀美術館「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」展
~なぜ横須賀に運慶仏が!?もうひとつの鎌倉殿の物語~
★10月18日(火)よる8時放送 番組ホームページ
(8月9日放送のアンコール)
現在、神奈川県立金沢文庫(横浜市金沢区)で「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」を開催中です(11月27日まで)。
同展はこれに先立ち、横須賀美術館(神奈川県横須賀市)で9月4日まで開催されていました。そこで改めて横須賀美術館の運慶展などを取り上げた回をアンコールします。金沢文庫の運慶展の予習・復習に最適でしょう。
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今回は、鎌倉時代に活躍した天才仏師・運慶の傑作を見るために、神奈川県の横須賀市へ伺いました。なぜ、奈良の仏師・運慶の名作が横須賀にあるのでしょうか。実は、代表作である東大寺南大門の金剛力士像を造る前、10年間ほど三浦半島で活動していたと言われています。しかも、鎌倉幕府とその御家人たちの御用仏師のような役割を果たしていたとも考えられています。そんな謎の多い運慶の足跡にぶらぶらメンバーが迫ります。

まず訪れたのは、三浦半島にある浄楽寺。鎌倉幕府の有力御家人の1人であった和田義盛ゆかりのお寺です。このお寺は、なんと運慶作の仏像を5体も所蔵しています。運慶作で残っている31体のうちの、5体なだけに非常に貴重です。収蔵庫に安置されている運慶作の阿弥陀三尊を拝見しました。実は、運慶作の阿弥陀三尊が現存するのはここだけ。保存状態もよく、運慶の傑作を間近で堪能。特別に後ろ姿も見せてもらい、その精巧な作りに感嘆です。
続いて、横須賀美術館の「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」展へ(9月4日に閉幕)。横須賀市にある運慶と運慶工房が手掛けたとされる仏像など、重要文化財が17体という豪華版です。

肖像彫刻「三浦義明坐像」は、運慶と強い関係にあった三浦半島を支配した三浦一族の長で、自らの命を盾に頼朝と一族を救い、鎌倉幕府設立に貢献した伝説の老武将。その生き様を感じさせる鎌倉彫刻らしいリアルな肖像です。

2mもある「観音菩薩立像」と「地蔵菩薩立像」は運慶が造った浄楽寺の観音とそっくり。このお像から、運慶と鎌倉幕府(源頼朝)、そして三浦一族の密接な関係が浮かび上がってきます。
「曹源寺の十二神将像」は、かつて運慶が造った十二神将の模造と考えられ、運慶工房が関係していると見られる重要文化財です。運慶らしい躍動感と豊かな表情を持つこの群像は、実は、北条政子のある思いが隠されている?その謎に迫ります。
運慶作「不動明王立像」と「毘沙門天立像」は、ビシッと決めたポーズに躍動感、さらに隙のない造形美や表情は運慶仏の魅力が全て揃っているとも言われる傑作です。そして、像内にあった銘札も拝見。「いつ誰が発注し、誰が造ったか」のか。それを見ると、運慶の三浦半島での活動の一端を感じることができます。まだまだ謎の多い三浦半島での運慶。最新の情報を交えながら、大仏師として羽ばたく天才の若き10年間に迫ります。
(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)