【プレビュー】「DESIGN MUSEUM JAPAN展」国立新美術館で11月30日から 日本各地の魅力あふれるデザインを第一線で活躍するクリエーターがひもとく

DESIGN MUSEUM JAPAN展 集めてつなごう 日本のデザイン |
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会期:2022年11月30日(水)~12月19日(月) |
会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京都港区六本木7-22-2) |
開館時間:10:00~18:00 ※毎週金曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで |
観覧料:無料 |
休館日:火曜日 |
アクセス:東京メトロ千代田線乃木坂駅直結 |
詳しくは同館の展覧会HPへ。 |
日本各地の魅力あふれるデザインを第一線で活躍するクリエーターとともに発掘し、紹介する展覧会「DESIGN MUSEUM JAPAN展」が11月30日(水)から国立新美術館で開催されます。(観覧料無料)
本展は、NHKのプロジェクト「DESIGN MUSEUM JAPAN」の一環です。DESIGN MUSEUM JAPANは、「日本各地に点在する<デザインの宝物>を所蔵する館や組織をつなぎ、日本全体を<デザインミュージアム>にすること」を目指しています。そこで、帝国ホテル東京の新本館の設計を手がける建築家・田根剛さんや、デザイナーの皆川明さんなど13名のクリエーターが各地の生活文化をリサーチ。本展では、リサーチのなかでクリエーターが心惹かれたデザインを背後にある物語とともに紹介します。

本展で紹介されるデザインには、一見すると「これもデザイン?」と驚くものもあります。
皆川明さんは、山形県にある「山形緞通」の製造現場を訪れました。緞通とは、手織りで作られる厚みのあるじゅうたん。1センチ織るのに1日かかることもあるそうです。
皆川さんは、戦後、素材の羊毛が入らない時期に作られた「葛の根の糸で織られた緞通」に惹かれました。そこに、「なんとしても緞通を作り続けよう」という強い意志が宿っていると感じたのです。
会場では、緞通の制作過程を紹介。皆川さんがデザインして試作中の緞通も展示します。

服飾デザイナーの廣川玉枝さんは、福岡県で700年続く夏祭り「博多祇園山笠」をリサーチしました。廣川さんは、先人たちがデザインしたものをもとに毎年新しく作られる山笠に注目。時代を超えて生き続けるものづくり、人々の情熱が形になっている博多祇園山笠を<祈りのデザイン>と表現しています。
建築家の田根剛さんは、岩手県にある御所野縄文博物館をリサーチ。展示会場では、田根さんのリサーチ映像や御所野遺跡から出土した土器などを展示し、縄文時代のムラの暮らしにあったデザインを紐解きます。

本展の会場デザインも出がけた田根さんはこう語ります。
「日本では、さまざまな地域にデザインの遺伝子が組み込まれていて、縄文時代から近代まで脈々と受け継がれてきました。本展をとおして、日本の各地にデザインを作る力があることを知っていただけたらと」
本展は、「デザインとは何か」について改めて考えるきっかけにもなります。身近にあり、日々の暮らし支えるものたちの中に、素敵なデザインはまだまだあるかもしれません。
「DESIGN MUSEUM JAPAN展」は国立新美術館で11月30日(水)から12月19日(月)まで。観覧料は無料です。2023年春からは、サンパウロ(ブラジル)、ロサンゼルス(アメリカ)、ロンドン(イギリス)へ巡回します。
参加クリエーター一覧
皆川 明 (デザイナー)
西沢 立衛 (建築家)
柴田 文江 (プロダクトデザイナー)
乾 久美子 (建築家)
須藤 玲子 (テキスタイルデザイナー)
三澤 遥 (デザイナー)
原 研哉 (グラフィックデザイナー)
廣川 玉枝 (服飾デザイナー)
森永 邦彦 (ファッションデザイナー)
辻󠄀川 幸一郎 (映像作家)
水口 哲也 (エクスペリエンスアーキテクト)
田川 欣哉 (デザインエンジニア)
田根 剛 (建築家)
(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)