「ロートレックとミュシャ パリ時代の10年」(大阪中之島美術館)音声ガイドの溝端淳平さんに聞く もし描いてもらうとしたらどっちに?

10月15日(土)より、大阪中之島美術館にて開幕する「ロートレックとミュシャ パリ時代の10年」。本展で音声ガイドを担当されるのは、俳優の溝端淳平さんです。今回音声ガイド初挑戦ということで、その感想や展覧会の見どころなどをインタビューしました。(聞き手 ライター・虹)
――初挑戦の音声ガイドナビゲーターの感想は?
まさか自分にこういった仕事のチャンスが巡って来るとは思わなかったので、非常に光栄です。飛び込んでみたい世界だったので、チャレンジの場を与えていただけたことを嬉しく思います。
――朗読劇や吹替などの声だけの仕事と違うところは?
ナレーションや声優などの声を使った仕事は、役者と似ているようで少し違います。舞台であればその役を生きている人物として演じ、伝えることになりますが、聴いている方に音のみで表現していくという作業は、またちょっと特殊ですよね。
音声ガイドは解説の役割があるので、感情の色を説明の中にどう出していくかに難しさを感じました。また、自分が言い慣れない、聴き慣れない情報を、いかに聴いている方に届けるかという点も難しかったです。僕と同じようにこの言葉に馴染みがないと感じる人へ、どういった読み方をすれば伝わるだろうと考えながら読みました。
普段が早口なので、ゆったり喋るのも大変でした(笑)。
――特に気を付けた部分は?
ガイドを聴きながら一緒に歩くように絵を楽しんでもらえたらと思っていたので、なるべく自分もリラックスするようにして、隣りで語りかけるイメージを常に意識しました。
――お気に入りのパートは?
ときどき哲学的なセリフが出てくるのが楽しかったですね。自分の本業(芝居)に近い部分を感じました。
例えばガイドの中で、女性の美しさを描写するロートレックの言葉が出てきますが、言い回しがとても独特で深いのです。
僕は絵画にはうといのですが、人間への探求心や哲学的な物事の捉え方というのは、自分がやっているお仕事と近いものがある気がしました。ロートレックもミュシャも、一般的なものの捉え方とは少し違う感性を持っている。そこへの憧れや関心はナビゲートをしながら感じました。
――展示作品の中で気になる1点は?
ミュシャが描いた、サラ・ベルナールのポスターは印象的でした。現代では舞台やドラマのポスターは写真が多く、絵を使ったものは少ないですよね。画家に描いてもらうことは、天才同士の合作のようで、とても興味深かったです。
――もし描いてもらうとしたらロートレックとミュシャどちらに?
作品によるかもしれないけれど、女性の役を演じた時はミュシャに描いてもらって、男性の役の時はロートレックというのは面白いかも。いや、それとも汚い役を演じた時にミュシャに描いてもらったら、思いもよらない美しさが生まれるかな。自分でも気づかないような一面を描いてもらえそうな気がします。
――最後に本展の見どころと読者へのメッセージを
僕自身、美術館に行く頻度が高いわけではないのですが、そうした方にもカジュアルな気持ちで来ていただければと思います。ロートレックとミュシャの作品は、今を生きる人にも”刺さる絵”だと思います。
それまであまり価値を見出されなかったポスターをこれだけ評価されるものにしたというのも、革命的ですよね。作品自体おしゃれだし、19世紀末の最先端にいたのではないでしょうか。
絵を見るだけでも楽しいけれど、やっぱりストーリーを知るともっと楽しいです。面白いエピソードがたくさんあるし、ドラマチックな人生を歩んだ2人だったことがよくわかりました。そうしたことを知りながら絵を見ると、また違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。
◇溝端淳平(みぞばた じゅんぺい)さんプロフィール 1989年生まれ。和歌山県出身。2006年、第19回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞。翌年ドラマ『生徒諸君!』(テレビ朝日系)で俳優としての活動を開始。その後ドラマ・映画・舞台と活躍の場を広げる。10月20日放送スタートの読売テレビ・日本テレビ系木曜ドラマ『Sister』に出演。2023年大河ドラマ『どうする家康』(2023年、NHK)では今川氏真役を務める。
「ロートレックとミュシャ パリ時代の10年」 |
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会期:2022年10月15日(土) ~ 2023年1月9日(月・祝) |
会場:大阪中之島美術館 4階展示室 |
開催時間:10:00~17:00 ※入場は16:30まで |
観覧料:一般 1600円 高大生 1300円 |
休館日:月曜日(1/2、1/9を除く)、12/31、1/1 |
詳しくは大阪中之島美術館サイト(https://nakka-art.jp/) で |