【開幕】特別展「京に生きる文化 茶の湯」京都国立博物館で12月4日まで 国宝23件など各時代の名品で茶の湯の歴史を通観

特別展「京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」 |
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会期:2022年10月8日(土)~12月4日(日) [前期展示]10月8日(土)~11月6日(日) [後期展示]11月8日(火)~12月4日(日) |
会場:京都国立博物館(京都市東山区茶屋町527) |
開館時間:午前9時~午後5時30分 (金・土曜日は午後8時まで開館、入館は閉館30分前まで) |
観覧料:一般1,800円/大学生1,200円/高校生700円 |
休館日:月曜日(ただし、10月10日[月・祝]は開館、翌11日[火]は休館) |
詳しくは展覧会公式サイトで |
開幕前日の内覧会を取材しました
10月8日(土)から京都国立博物館で始まる特別展「京に生きる文化 茶の湯」(茶の湯展)の内覧会を取材しました。国宝23件を含む名品の数々や、千利休がプロデュースした「わびの茶室」と「黄金の茶室」の復元展示などで、京都そして日本を象徴する茶の湯文化が通史的に紹介されています。
茶の湯の名品が集結
茶の湯の茶碗の最高位とも呼ばれ、大井戸茶碗の要素をすべて兼ね備えた国宝「大井戸茶碗 銘 喜左衛門」や、国宝「圜悟克勤墨蹟 印可状(流れ圜悟)」、国宝「曜変天目」(龍光院蔵)など、茶人憧れの名品の数々にただただ圧倒されます。


青磁の名品「千聲」と「万聲」
中国・南宋の青磁の名品である重要文化財「青磁鳳凰耳花入 銘

主な注目作品の展示スケジュール
・茶の湯の茶碗の最高位ともよばれる国宝「大井戸茶碗 銘 喜左衛門」(通期展示)
・喜左衛門と並び称され豊臣秀吉が愛用したとされる重要文化財「大井戸茶碗 銘 筒井筒」(通期展示)
・桃山時代を代表する三井記念美術館所蔵の名碗、国宝「志野茶碗 銘 卯花墻」(通期展示)
・世界に3碗現存する曜変天目のひとつで京都・龍光院所蔵の国宝「曜変天目」(展示期間:10月8日~23日)
・茶を楽しむ人々を狩野秀頼が色鮮やかに描いた国宝「観楓図屏風」(展示期間:10月8日~23日)
・元の時代に描かれた男装した宮廷の女官とされている国宝の伝銭選筆「宮女図」(展示期間:10月8日~11月2日)
・宋の皇帝・徽宗筆と伝わる宮廷絵画の傑作、国宝「桃鳩図」は4日間限定で(展示期間:11月3日~6日)
・徽宗筆と伝わる京都・金地院所蔵の国宝「秋景冬景山水図」は前期展示(展示期間:10月8日~11月6日)
・古田織部が気に入って勝手に持ち帰ってしまい、あとで詫び状とともに返却した逸話のある「鉈鞘籠花入」は詫び状「筋痛みの文」とともに後期に展示(展示期間:11月8日~12月4日)
・石川五右衛門が秀吉の寝所に忍び込んだ際に香炉に付けられた千鳥が鳴いたために捕らえられたという逸話がある、徳川美術館所蔵の「青磁香炉 銘 千鳥」(展示期間:11月15日~12月4日)
時代ごとの喫茶の場を体感

中国からもたらされた茶を喫する文化は、時代を経て「茶の湯」という日本独自の文化を生み出しました。上の写真の重要文化財「五百羅漢図」(中国・南宋時代)では中国の僧侶たちの喫茶の様子を、下の国宝「観楓図屏風」(室町〜桃山時代)では秋の京都洛北で茶を楽しむ人々の姿を見て、その違いを考えることができました。

利休の対照的な茶室も並べて見ると
会場では、秀吉の「黄金の茶室」と利休の「わびの茶室」が復元展示されています。黄金の茶室は利休らしくないとも言われてきましたが、担当する京博学芸部調査・国際連携室長の降矢哲男さんは「並べて見ると、なるほどどちらも利休がプロデュースした茶室だと感じられるのでは」と話していました。
グッズや図録も充実
抹茶を使ったリップクリームなどをオリジナル巾着で包んだ祇園辻利のコスメセットなどミュージアムグッズも豊富です。抹茶の新しい楽しみ方を発信する「抹茶共和国」の抹茶バックで、抹茶ラテを点てるのも楽しそうです。
クリアファイルはA4、A5、A6のサイズ展開。A6マルチファイルは、おくすり手帳が収まるサイズです。展示で、茶は薬として使われてきた歴史を知ったので、茶の湯とくすり手帳の相性は良いかもしれません。
茶の湯の歴史を総覧できる公式図録は420ページのボリュームです。
(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)
展示構成は下のプレビュー記事をご覧ください。
音声ガイドナビゲーターの多部未華子さんのインタビューはこちら。