【開幕】「加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―」国立歴史民俗博物館で12月11日まで

国際企画展示「加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―」 |
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会場:国立歴史民俗博物館 (千葉県佐倉市城内町 117) |
会期:2022年10月4日(火)~12月11日(日) |
開館時間:9時30分~16時30分(入館は16時まで) ※開館日・開館時間を変更する場合があります |
休館日:月曜日(月曜が休日の場合は開館し、翌日休館) |
料金:一般1000円/大学生500円/高校生以下無料 |
アクセス:京成佐倉駅徒歩約15分またはバス約5分、JR総武本線佐倉駅下車バス約15分 |
詳しくは同館公式サイトで 問い合わせは、050-5541-8600(ハローダイヤル)へ |
開幕前日の内覧会を取材
10月4日(火)から12月11日(日)まで国立歴史民俗博物館(千葉・佐倉)で国際企画展示「加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―」が開かれています。文献資料が少なく、かつては「幻の王国」とも呼ばれた朝鮮半島南部にあった加耶の実像に考古学から迫ります。

3〜6世紀に鉄生産と交易で栄えた加耶は、古墳時代の日本列島と密接な関係がありました。上の写真の加耶の短甲(4世紀、韓国・国立中央博物館蔵)には、製法やデザインなど日本の前方後円墳の副葬品との共通点が見られます。

この30年の韓国での考古学調査により加耶研究が大きく進み、古代朝鮮三国(新羅、百済、高句麗)に並ぶ独自性を持つ文化だったことが明らかになったそうです。本展では、考古学的に認識可能な「金官加耶」「阿羅加耶」「小加耶」「大加耶」の4つの国々を扱います。

車輪飾土器や「加耶土器の美」のコーナーに並ぶ様々な形の土器は実に美しいプロポーションでした。

「鉄の国」加耶

加耶の基盤は、豊かな鉄の生産にありました。強国のはざまに位置し、常に戦いに備える必要があった加耶では、鉄製の重厚な武具が多く作られました。

大加耶の豪華なアクセサリー
5世紀になると高句麗の進攻などにより東側で海寄りの金官加耶に代わり、内陸部の大加耶が飛躍的な成長を遂げました。大加耶の王陵群である高霊池山洞古墳群からは、豪華な金製のアクセサリーや装飾大刀などが出土しています。



大加耶を中心に、王権の強化を図った加耶ですが、6世紀になると、新羅と百済に圧迫されていき、最終的に562年に新羅領となり、滅亡しました。

本展は、国立歴史民俗博物館、大韓民国国立中央博物館、九州国立博物館の日韓共同開催です。内覧会に出席したユン ソンヨン大韓民国国立中央博物館長は「隣国同士の韓国と日本の関係は、良好な時もあれば険悪な時もあり、それを繰り返してきました。しかし、文化の交流はどんな時も続き、広がってきました。今回の展示も新たな日韓交流の懸け橋になることを期待しています」と話していました。
九博では来年1月24日〜3月19日に特別展「加耶」が、その後、韓国の国立金海博物館でも特別展が開かれる予定です。

(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)