週末いきたい!いよいよ迫る「国宝 東京国立博物館のすべて」を予習する

今年後半最大の注目展、特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」がいよいよ10月18日から始まります。美術展ナビでは、折に触れて、紹介してきましたが、89件すべての国宝を見るには、12月11日までの会期中、少なくとも3回行く必要がある本展。ぜひとも予習をしておきたいところです。
東京国立博物館 総合文化展(常設展)
東博の総合文化展(常設展)を前もって見に行くとかなりの予習が可能です。
「東京国立博物館の模写・模造ー草創期の展示と研究ー」
本館2階の2つの部屋を使って行われている特集展示「東京国立博物館の模写・模造ー草創期の展示と研究ー」(10月30日まで)。並んでいるのは明治時代につくられた模写・模造ながら、原本は国宝の数々です。【 】は原本と特別展での展示期間です。
【国宝 片輪車蒔絵螺鈿手箱 平安時代 11月15日~12月11日】
・片輪車蒔絵螺鈿手箱(模造) 10月2日まで
【国宝 秋冬山水図 雪舟等楊筆 室町時代 10月18日~11月13日】
・秋冬山水図 雪舟等楊筆(模本) 10月2日まで
【国宝 普賢菩薩像 平安時代 11月29日~12月11日】
・普賢菩薩像(模本)10月2日まで
【国宝 片輪車螺鈿手箱 鎌倉時代 10月18日~11月13日】
・片輪車螺鈿手箱(模造) 10月4日~30日
【国宝 舟橋蒔絵硯箱 本阿弥光悦作 江戸時代 10月18日~11月13日】
・舟橋蒔絵硯箱 本阿弥光悦作(模造) 10月4日~30日
【国宝 紅白芙蓉図 李迪筆 中国・南宋時代 10月18日~11月13日】
・紅白芙蓉図 李迪筆(模本) 10月4日~30日
【国宝 地獄草紙 平安時代 11月15日~12月11日】
・地獄草紙(模本) 10月4日~30日
ほかにも巻が東博の国宝とは異なるものの、平治物語絵巻(模本、原本:ボストン美術館蔵)や扇面法華経冊子(模本、原本:大阪・四天王寺蔵)も並びます。ちなみに特別展では、【国宝 平治物語絵巻 六波羅行幸巻】は10月18日~30日、【国宝 扇面法華経冊子】は11月15日~12月11日の展示です。
刀剣
特別展では国宝刀剣19件が展示替え無しで一堂に展示される「国宝刀剣の間」が用意されます。
現在、東博本館の2階「武士の装い―平安~江戸」では、いくつかの国宝の刀に付随する拵が展示されています。11月20日まで。
・梨地糸巻太刀の拵 【国宝 太刀 伯耆安綱(名物 童子切安綱)】の拵
・瑞雲文蒔絵合口の拵 【国宝 短刀 相州行光】の拵
書跡
本館2階の「仏教の興隆―飛鳥~奈良」では、賢愚経断簡(大聖武)が10月10日まで展示されています。大聖武は断簡として、さまざまなところにありますが、まとまっている【国宝 賢愚経断簡(大聖武)】は特別展で10月18日~30日の展示です。
法隆寺献納宝物
法隆寺宝物館では、【国宝 灌頂幡 飛鳥時代】が常設展示されています。全体は大きいものなので、特別展では一部が展示されるようです。
【国宝 竜首水瓶】【国宝 鵲尾形柄香炉】【国宝 墨台・水滴・匙】は普段は常設に近い形で法隆寺宝物館で展示されていますが、特別展のため現在は出展が取り下げられています。【国宝 海磯鏡】は2面ありますが、そのうち1面は特別展に、1面は宝物館での展示が継続されるようです。(いずれも特別展では通期)
考古
特別展が開かれる平成館には、常設として「日本の考古」の部屋があります。「ヤマト(倭)王権の成立―宝器の生産―」(12月4日まで)では【国宝 東大寺山古墳出土品】(特別展では通期)を、「江田船山古墳―先進文化の受容―」(12月10日まで)では、【国宝 江田船山古墳出土品】(特別展では通期)をそれぞれ見ることができます。考古の出土品は指定は1件でも実際の点数は多いので、特別展を見たあとに考古コーナーで「もう一度」見るのも面白いかもしれません。
「大蒔絵展」 (三井記念美術館)
10月1日から三井記念美術館で始まる「大蒔絵展 漆と金の千年物語」では、前期(10月23日まで)に、【国宝 片輪車蒔絵螺鈿手箱 平安時代】と【国宝 八橋蒔絵螺鈿硯箱 尾形光琳作 江戸時代】が出展されます。同展は11月13日まで。【国宝 片輪車蒔絵螺鈿手箱】と【国宝 八橋蒔絵螺鈿硯箱 尾形光琳作】は東博の特別展では、11月15日から12月11日まで展示されます。
「京に生きる文化 茶の湯」(京都国立博物館)
京都国立博物館では特別展「京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」が10月8日から12月4日まで開催されます。茶を楽しむ人々を色鮮やかに描いた【国宝 観楓図屏風 狩野秀頼筆 室町~安土桃山時代】は10月8日~23日の展示です。その後、東博の特別展では、11月29日~12月11日まで展示されます。
「鑑真和上と下野薬師寺」(栃木県立博物館)
栃木県立博物館で9月17日から10月30日まで開催されている特別企画展「鑑真和上と下野薬師寺」では、【国宝 元暦校本 万葉集 平安時代】が10月12日~30日に展示されます。東博の特別展では10月18日から11月13日までと重なっているので、異なる巻が展示されるようです。【国宝 延喜式 平安~南北朝時代】も同じスケジュールで、栃木県立博物館と東博特別展に出展されます。
「秋季名宝展」(仁和寺霊宝館)
京都の仁和寺の霊宝館「秋季名宝展」(9月17日〜12月4日)では、国宝「医心方 第1・第10残巻」が展示されています。現存最古の医学書「医心方」は、半井本系と仁和寺本系があり、それぞれ国宝です。半井本系の【国宝 医心方 平安~江戸時代】は東博が所蔵しており、特別展では10月18日~11月13日に展示されます。
「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」(静嘉堂@丸の内)
10月1日に移転オープンする静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)の「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」(12月18日まで)では、国宝の因陀羅《禅機図断簡 智常禅師図》(元時代・14世紀)が前期(11月6日まで)に展示されています。東博の所蔵する【国宝 紙本墨画禅機図断簡〈因陀羅筆/(寒山拾得図)〉】は11月15日から12月11日まで展示されます。
(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)