「茶碗の魅力、伝えたい」 特別展「京に生きる文化 茶の湯」で音声ガイドナビゲーターの多部未華子さん

10月8日に京都国立博物館で開幕する特別展「京に生きる文化 茶の湯」で、音声ガイドナビゲーターを務めるのは人気女優の多部未華子さんです。茶道をテーマにした映画「日日是好日」に出演し、日本古来の文化にを関心を持ったという多部さん。絵画鑑賞も好きで、以前から興味があったという音声ガイド。どんな思いで臨んだのかを収録直後のスタジオで伺いました(聞き手・読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志、撮影・青山謙太郎)
フェルメールファン、音声ガイドにも興味
Q 音声ガイドナビゲーターは今回が初体験だそうですね。
A もともと展覧会は好きなんです。特にフェルメールのハッキリとした鮮やかな色彩が好きで、フェルメールの作品が出品される展覧会なら大方は行っています。興味深い内容の時は、音声ガイドで色々な情報を耳にしながら鑑賞することもあり、音声ガイドの仕事は前から楽しそうだなと思っていました。今回、よい機会をいただいて嬉しかったです。
「和」の魅力に触れた映画撮影
Q 映画「日日是好日」(※)で茶の湯に触れてどう感じましたか。
A 稽古を何度も重ねましたが、亭主とお客と、それぞれに作法やしきたりがあり、覚えることが多くて大変でした。正座は得意なほうだと思っていましたが、長時間の撮影ではさすがにきつくて…最後はクッションを敷いてました(笑)。
Q 一方、茶の湯の魅力については。
A 動作ひとつひとつに意味があり、一見、単純な作業でも見せ方に気を遣い、手先のきれいさを追求し、音の出し方ひとつにも神経を使うなど、美しい振る舞いを学ぶ機会になりました。日本ならではの文化に触れることで、古いものに関心を持つきっかけにもなりました。お茶菓子もおいしいです!
樹木希林さんと膝を交えて
Q 「日日是好日」では、大女優の樹木希林さんと共演しました。
A 少し怖そうなイメージもある方ですが、そうそうご一緒できる機会もないと思い、撮影の合間に思い切って樹木さんの控室に伺って、一時間半程二人きりでお話したことがあります。演技論とかそういう難しい話ではなく、ひとつの毛布に一緒に足を入れて、「映画祭の時にこんなことがあって」みたいな、たわいもないおしゃべりをしたのですが、今となってはとても思い出深いですね。
京都、大好き!
Q 今回の展覧会は「京都」という街も大きなテーマです。多部さんにとって京都は?
A 京都は好きな街です。最近も行きましたよ。京都に行く、イコール「和」を感じる時間を過ごせる喜び、ですね。以前行った、縁切り神社で名高い「安井金毘羅宮」さんが印象的で、友達たちは「怖い」というのですが、私は「せっかく来たからには、いろんな悪い縁を切ってもらおう」となんだかすっきりできました(笑)
茶碗の歴史、器から放たれるメッセージに注目
Q 今回の展覧会では、何に注目していますか。
A 茶碗です。「日日是好日」までは茶碗のことを深く考えたこともなかったですが、撮影の時に「おいそれと触れません」というような貴重な品を見せていただく機会があり、茶碗ひとつが国宝にさえなるのか、とびっくりしました。今回も名高い品がたくさん出ており、その来歴などを学びながら見ることで、小さい茶碗ひとつから様々なメッセージや、歴史の積み重ねを知ることができると思います。
音声ガイドのイチ押しは。。。
Q 展覧会には、多部さんの音声ガイドが楽しみで来場される方も多いと思います。その方々に「ここを聞いてください」というイチ押しポイントを挙げるとすれば何でしょう。
A 茶碗などの作品名を発音するのが本当に難しく、収録の時も何度もイントネーションや強弱を直していただきました。キャプションを見ただけでは、どんな読み方をするのか見当もつかないものもあると思います。でもこの音声ガイドを聞いていただければ、正しい発音が分かるはずです(笑)
【多部未華子プロフィール】
1989年1月25日、東京都生まれ。2002 年に女優デビュー。
05 年公開の映画『HINOKIO』『⻘空のゆくえ』でブルーリボン賞新人賞を受賞して注目を集める。09 年にはNHK連続テレビ小説『つばさ』のヒロインも務めた。10 年には『農業少女』で読売演劇大賞女優賞・杉村春子賞、エランドール賞新人賞などを受賞。映画、ドラマをはじめ、舞台、CMと多方面で活躍の場を広げている。2022年はTBS日曜劇場『マイファミリー』、映画『流浪の月』に出演。現在『リラックマと遊園地』(Netflix)が配信中。
(※)日日是好日(にちにちこれこうじつ)=2018年公開。大森立嗣監督。茶道教室に通った約25年間について記した森下典子さんのエッセイを映画化。茶道を通じて成長する主人公・典子を黒木華さん、茶道の先生・武田を樹木希林さんが演じ、多部さんは主人公と一緒に茶道を学ぶ従妹・美智子役にて出演。
特別展「京(みやこ)に生きる文化 茶の湯」 |
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会期:2022年10月8日(土)~12月4日(日) [前期展示]10月8日(土)~11月6日(日) [後期展示]11月8日(火)~12月4日(日) |
会場:京都国立博物館(京都市東山区茶屋町527) |
開館時間:午前9時~午後5時30分 (金・土曜日は午後8時まで開館、入館は閉館30分前まで) |
観覧料:一般1,800円/大学生1,200円/高校生700円 |
休館日:月曜日(ただし、10月10日[月・祝]は開館、翌11日[火]は休館) |
詳しくは展覧会公式サイトで |