【BOOKS】書を楽しみたい人のための雑誌『墨』9・10月号は「書に出会える美術館」

日本美術や中国美術の展覧会で見かけることが多い書。奥深い書の世界の手引きとしておすすめなのが、芸術新聞社から隔月で刊行されている雑誌『墨』です。9月1日に発売された278号では、「書を鑑賞できる美術館」を特集しています。
成田山書道美術館(千葉県)、日本書道美術館(東京都板橋区)などの書道専門美術館、村上三島記念館(愛媛県)など特定の作家に焦点をあてた記念館、MOA美術館(静岡県熱海市)など旅とあわせて訪れたい美術館。さまざまな切り口で「書に出会える美術館」を紹介しています。
各館が所蔵する書の魅力を紹介したり、書の鑑賞方法を提案したりする特集も充実。たとえば春日井市道風記念館の学芸員の鈴川宏美さんは、書の楽しみ方についてこのように述べていました。
書の鑑賞方法としてはまず、内容よりも文字がどのように書かれて表現されているのか、たとえば紙面の構成であったり、筆線の変化を通じてその表現を楽しむ。そして、こういった表現の鑑賞に慣れてきたら、文学的に内容を読んで理解し、さらに書の奥深さを味わうのがよいと思います。(34ページ)
また本書では、「作品鑑賞がちょっと楽しくなる豆知識」や展覧会の鑑賞方法も紹介。学芸員の仕事内容など展覧会の裏側にスポットをあてたインタビューも興味深いです。アート鑑賞の基本をおさらいしたい方、鑑賞体験をより豊かにしたい方もぜひチェックしてみてください。
価格は2,700円、購入は書店か芸術新聞社のサイトから各ネット書店にて。
(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)