【プレビュー】浮世絵で知る、江戸時代や明治時代の「運ぶ」とは――「はこぶ浮世絵-クルマ・船・鉄道」展 太田記念美術館で10月1日開幕

月岡芳年「風俗三十二相 おもたさう 天保年間深川かるこ風ぞく」

はこぶ浮世絵-クルマ・船・鉄道

※最新情報は、公式HP(http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/)で確認を。

日々の生活に欠かせないのが、「運ぶ」という行為。江戸時代には、人や馬、船などを用いたさまざまな輸送の仕組みがあった。また、明治時代の浮世絵には、当時の日本人にとって未知の乗り物であった鉄道をはじめ、馬車や人力車など文明開化を彩る新しい輸送の様子が盛んに描かれている。鉄道誕生150年にあたる2022年。コロナ禍でインターネットを駆使した物流が発展を遂げている昨今だが、今回の展覧会では、江戸から明治期にかけてのさまざまな「運ぶ」行為を、約65点の浮世絵を通して読み解いていく。

鈴木春信「浮世(美人)寄花 路考娘」
葛飾北斎「冨嶽三十六景 武州千住」

江戸は水の都であり、江戸湾や隅田川などの水辺に囲まれ、街中には水路が縦横に張り巡らされていた。舟運は江戸の人々の暮らしを支え、樽廻船や菱垣廻船などによる江戸と諸国との海運も盛んだった。陸路では東海道をはじめとした街道が整備され、物流に用いられるのはもちろん、庶民の間で盛んになった遠方への旅のルートともなっていた。歌川広重や葛飾北斎ら浮世絵師たちが描いた作品の中には、こうしたさまざまな物流・交通の様子が、生き生きと写し取られている。

歌川広重「東海道五拾三次之内 川崎 六郷渡船」
歌川広重「大井川歩行渡」

浮世絵師たちが描いた江戸時代の風景を「運ぶ」という視点で眺めてみる。料亭で料理を運ぶ人、街頭で商品を売り歩く人、旅の荷物を持ち運ぶ人・・・・・・、様々な目的で様々な「運ぶ」人々が描かれている。同時に、浮世絵には当時の輸送手段も描かれている。川を渡す渡し船、遊廓や料亭へ向かう際のタクシー代わりにもなった舟運、旅人の荷物を宿場間のリレー形式で運んだ人馬継立、文書などを江戸から大坂へ最短数日で届けた飛脚――、車や電車のなかった時代にも、想像以上に充実した輸送の仕組みがあったのだ。それを活写する浮世絵からは、江戸の人々の暮らしぶりが生き生きと見えてくる。

昇斎一景「高輪鉄道蒸気車之全図」
小林清親「高輪牛町朧月景」

明治5年(187210月には、新橋と横浜を結ぶ鉄道が正式開業した。今年10月は、それからちょうど150年目にあたる。浮世絵師たちは実際に鉄道が開通する2年ほど前から、時に想像も交えながら、盛んにその姿を描いていた。大量に出版された鉄道絵からは、新たなインフラの登場に対する熱気が漂ってくる。今回の展覧会では、そういう鉄道はもちろん、馬車や人力車、船から気球まで、さまざまな乗り物が描かれた浮世絵を展示する。

(美術展ナビ取材班)

歌川芳虎「亜墨利加国」

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