【開幕】「名物-由緒正しき宝物-」徳川美術館で11月6日まで 太刀「獅子王」や脇指「物吉貞宗」、刀「桑名江」など

秋季特別展「名物-由緒正しき宝物-」
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会期
2022年9月17日(土)〜11月6日(日) 前期9/17~10/16 後期10/18~11/6 -
会場
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観覧料金
一般1,400円 高・大生700円 小・中生500円
※毎週土曜日は高校生以下無料 -
休館日
月曜日(但し、9月19日、10月10日は開館、翌9月20日(火)、10月11日は休館)
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開館時間
10:00〜17:00 (入館は16時30 分まで) - カレンダーへ登録
尾張徳川家が収蔵した茶の湯道具と刀剣など名だたる名物の数々が並ぶ、秋季特別展「名物-由緒正しき宝物-」が、徳川美術館(名古屋市)で9月17日から始まりました。11月6日まで。
「名物」は、作品そのものの魅力や有名であることのみならず、天下人・徳川家康や豊臣秀吉、茶人・千利休といった歴史的人物によって有されるなど、その「由緒」にも重きが置かれていました。
第1章 名物の源流
古来より優れた器物には固有の名が付けられ、他の器物と区別する文化がありました。その起源は、草薙剣など神話にまでさかのぼります。平安時代頃になると、優れた馬は「名馬」、楽器は「名器」などと呼ばれたように、世に知られた優品には「名物」という称号が与えられました。「名物」はもともと天皇家や将軍家の所有品である「御物」やそれに準ずる品に冠されていましたが、同等の価値を持つ品にも付けられるようになっていきます。
本章で展示される太刀「号 獅子王」(東京国立博物館蔵)は、『平家物語』の中で、源頼政が

第2章 名物刀剣
「名物」と称される刀剣は、刀剣の研ぎや鑑定を生業としてきた本阿弥家の記録をもとに江戸時代中期に編纂された『
『享保名物帳』に掲載されるのは、南北朝時代以前の名工によるもので、出来が良く、固有の名を持ち、かつての天下人や著名な武将たちが所有したなどの由緒を持つ名刀ばかりです。『享保名物帳』に掲載される刀剣の条件を満たす名刀は、江戸時代前期頃までは、武家や町人も所持していましたが、『享保名物帳』の編纂の頃には、徳川将軍家や一部の有力大名家などへ集約されていました。尾張徳川家でも名物刀剣は門外不出となり、再び世に出るのは幕末期になります。
この章では、脇指「物吉貞宗」(徳川美術館蔵)や刀「桑名江」(京都国立博物館蔵、展示期間:9月17日~10月16日)など名物の刀剣が並びます。


第3章 名物茶の湯道具
最後の章では、それぞれの時代での名物の在り方を、茶の湯道具を中心に紹介します。
名物茶の湯道具が文献に登場するのは室町時代頃から。器種や所蔵者別に名物茶の湯道具を列記した「名物記」に基づき、織田・豊臣政権のもと、名物茶の湯道具が堺や京都・博多の町人から集められました。それらは、戦国大名との外交交渉や家臣への恩賞にも用いられ、「名物」は政治的な価値が付与されることとなりました。
江戸時代になると、名物茶の湯道具の多くは各地の大名家によって収蔵され、重要な茶会や贈答に用いられるようになります。これにより、「名物」は大名家の家格の象徴ともなりました。
本章では、三大名物の茶壺とされる唐物茶壺「銘 松花」(大名物)や、秀吉に切腹を命じられた利休が自ら削って最後の茶会に用いたと伝えられる茶杓として名高い品である竹茶杓「銘 泪」(大名物)(展示期間:10月18日~11月6日)が展示されます。


名だたる名品の数々を通して、由緒正しき宝物「名物」の成り立ちや展開をたどる展覧会です。
(読売新聞美術展ナビ編集班)