【9月12日まで】「刺繡絵画の世界展―明治・大正期の日本の美」超絶技巧を凝らした至極の名品が集う

《日光陽明門と神橋図》 明治〜大正時代 個人蔵 ※右:部分拡大

9月12日(月)まで日本橋高島屋S.C.本館8階ホールで開催されている「刺繡絵画の世界展―明治・大正期の日本の美」に伺ってきました。
こちらの《日光陽明門と神橋図》は、油彩画でも水彩画でもありません。「刺繡絵画」なのです!

写真と見まがうほどに緻密な刺繡

《獅子図》 明治〜大正時代 髙島屋史料館蔵

泰然とした獅子図。一見すると写真にも見えるこの作品にも、緻密な刺繡が施されています。絵画空間に合わせて糸の撚り方、色、太さを選び、テクニックを使い分けつつ縫い上げる――。まさに超絶技巧を結集して生み出された至極の作品と言えるでしょう。その技巧をぜひ細部までじっくりと味わってみてください。単眼鏡をお持ちの方は、お忘れなく!

これらの刺繡絵画は明治期に日本を代表する美術工芸品として、輸出用に製作されました。万国博覧会にも出品され、世界で高い人気を博します。そのため多く作品が海外に渡ったままとなり、日本に残る作品はわずかなのだとか。

《花鳥図屏風》 明治〜大正時代 清水三年坂美術館蔵
《松島の図》 明治時代後期 個人蔵 愛荘町立歴史文化博物館寄託
《瀑布図》 明治後期〜大正時代 清水三年坂美術館蔵

京都画壇の巨匠の下絵も

超絶技巧もさることながら、一つ一つの作品の芸術性の高さも人気の秘訣でした。これらの下絵は、岸竹堂をはじめとする日本画家たちが描いていたのです。クライマックスの第三章では、山元春挙や竹内栖鳳が描いた下絵も見ることができます。

山元春挙《ロッキーの雪》明治38年(1905年) 髙島屋史料館蔵

大正期に入ると刺繡貿易が途絶え、刺繡絵画は衰退の一途をたどります。つまり刺繡絵画は、明治期後半という短い期間に劇的に栄えたものの、今や「知られざる存在」となってしまったのです。鮮烈かつ稀少な輝きを放つ名品を堪能できる機会です。ぜひお見逃しなく。

日本橋高島屋S.C.本館8階ホールでの開催は、912日(月)まで。915日(木)からは、京都高島屋7階グランドホールに巡回します(926日(月)まで)。

(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)

刺繡絵画の世界展―明治・大正期の日本の美
会期:2022年8月24日(水)~9月12日(月)
会場:日本橋高島屋S.C.本館8階ホール
開館時間:午前10時30分~午後7時(午後7時30分閉場)
※最終日9月12日(月)は午後5時30分まで(午後6時閉場)
観覧料:一般1,000円/大高生800円/中学生以下は無料
アクセス:東京メトロ 銀座線・東西線「日本橋駅」直結
詳しくは同館の展覧会HPへ。

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