【開幕】「国宝 鳥獣戯画と愛らしき日本の美術」福岡市美術館で10月16日まで 仙厓の「きゃふん」や応挙の「モフモフ犬」にも会える

京都・栂尾の高山寺が所蔵する国宝「鳥獣戯画(鳥獣人物戯画)」。日本で最も有名な絵巻物として知られる同作を中心とした展覧会が、福岡市美術館で9月3日から始まりました。鳥獣戯画のおなじみのウサギとカエルに加えて、博多ゆかりの禅僧・仙厓の「きゃふん」や、円山応挙のモフモフした子犬など、愛らしい動物の絵にもたくさん出会うことができました。


国宝 鳥獣戯画と愛らしき日本の美術 |
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会場:福岡市美術館 |
会期:2022年9月3日(土)~10月16日(日) |
休館日:月曜日 ※9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館し、9月20日(火)、10月11日(火)は休館 |
開館時間:午前9時30分~午後5時30分 (金・土曜日は午前9時30分~午後8時) ※最終入館は閉館の30分前まで |
観覧料:一般 1,800円 高大生 1,200円 小中生 800円 |
詳しくは展覧会公式サイト(https://artne.jp/chojugigafukuoka/)へ |
「鳥獣戯画」を中心とした日本美術の愛らしさに注目!

ウサギとカエルのかわいらしい絵巻物で知られる「鳥獣戯画」が、福岡にやってきました!
本展示は「鳥獣戯画」の魅力である動物モチーフ、そして表現の簡潔さとユーモアという2大テーマに沿って、平安時代から江戸時代までの様々な作品を展開。本展を通じて、日本美術の「愛らしさ」への理解が深まる展示構成になっています。
明恵上人も愛した「子犬」などの動物彫刻
冒頭に並ぶのは、「鳥獣戯画」を所蔵する高山寺にちなんだ展示物の数々。高山寺を再興した明恵上人(1173―1232)の像や涅槃図など鎌倉時代を中心とする仏教美術や高山寺所蔵の動物彫刻を展示。明恵上人がかわいがったとされる重要文化財「子犬」などの動物の彫刻の数々は、「生きてる?」と錯覚するほどの生き生きとした表情が魅力的です。

日本人の「カワイイ」を刺激する、動物モチーフ満載!
江戸時代に入ると、動物に対する愛情が美術を生み出す原動力へと変化。18世紀に活躍した円山応挙による動物絵画やその弟子たちによる作品、そして福岡藩の黒田家所蔵の動物画などの作品展示を通じて、当時の人々が抱いていた動物への愛情を感じることができます。



日本一有名なウサギとカエルがお出迎え
そして、中盤。「鳥獣戯画」が登場!


本展では、「甲・乙・丙・丁巻」の全4巻を2期に分けて展示します。前期(9月3日(土)~9月25日(日)まで)は、動物たちの擬人化画で有名な「甲巻」と人物画が描かれた「丁巻」を、後期(9月27日(火)から10月16日(日)まで)では、ゾウをはじめ実在・空想上の動物が描かれた「乙巻」と人間や擬人化した動物たちが描かれる「丙巻」を、それぞれ展示します。

絵巻物の中を駆け回る動物たちの愛らしい様子や細かな筆先で描かれた躍動感あるタッチに、誰もが目を奪われるはず。
*「甲・丁巻」は[9月3日(土)~9月11日(日)/9月13日(火)~9月25日(日)、「乙・丙巻」は[9月27日(火)~10月2日(日)/10月4日(火)~10月16日(日)]で場面替えを行います。
シンプルな引き算の日本の美
「鳥獣戯画」の特徴は、紙に墨でシンプルな線を描く「白描画」です。モチーフの限定や省略、単純化といった作風のほかの時代の日本美術をまとめて鑑賞することで、「鳥獣戯画」にも通じる「引き算の美」を再確認できました。

ユーモアあふれる人間の営みにニヤリ
江戸時代に制作された戯画には「鳥獣戯画」に影響を受けたのではと思われる絵画も少なくありません。シンプルな描線でユーモアあふれる略画を中心とした作品の数々からは、「日本の笑い」の原点を感じることができるでしょう。



全国から集まった鳥獣戯画グッズにも注目!

本展のお楽しみの一つは、福岡市美術館のミュージアムショップよりも広い、特設のギフトショップ。高山寺で販売されているグッズからスヌーピーなどのキャラとのコラボグッズのほか、本展オリジナルのアイテムも多数そろいます。定番のポストカードやマスキングテープに加えて、最中などのお菓子類から御朱印帳まで幅広いラインナップにも注目です!(ライター・藤村はるな)