【プレビュー】「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」茅ヶ崎市美術館で9月10日から

川瀬巴水《清洲橋》 昭和6年(1931)

THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦
会期:2022年9月10日(土)~11月6日(日)※前期・後期で作品の入れ替えあり
【前期】9月10日(土)~10月10日(月・祝)
【後期】10月12日(水)~11月6日(日)
会場:茅ヶ崎市美術館 展示室1・2・3 (神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45)
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
観覧料:一般800円/大学生600円/市内在住65歳以上400円/高校生以下、障がい者およびその介護者は無料
休館日:月曜日(ただし9月19日、10月10日は開館)、9月20日(火)、10月11日(火)
アクセス:JR茅ケ崎駅南口より徒歩約8分
詳しくは同館の展覧会HPへ。

江戸時代に確立された浮世絵木版画(錦絵)は、写真や印刷技術などの西洋技術が導入された明治以降、衰退の一途をたどっていきました。その中で同時代の画家たちは、あえて伝統的な浮世絵木版画技術を使い、高い芸術性を意識した新版画を生み出します。この新版画を牽引したのが渡邊版画店(現在の渡邊木版美術画舗)の渡邊庄三郎(1885~1962年)でした。本展では、新版画を世に送った版元・渡邊庄三郎の歩みを振り返ります。

17歳にして浮世絵商・小林文七の輸出店(横浜店)に勤めた邊渡邊庄三郎(以下、庄三郎)は、浮世絵、とりわけ木版画特有の美しさに魅了され、木版画の復興と新しい木版画制作を志します。やがて独立した庄三郎は、明治42年(1909年)に東京・京橋に渡邊版画店を構え、浮世絵研究と販売に携わりました。

フリッツ・カペラリ《黒猫を抱く女》 大正4年(1915)
川瀬巴水《東京十二題 こま形河岸》 大正8年(1919)
山村豊成(耕花)《梨園の華 十三代目守田勘彌のジャン・バルジャン》 大正10年(1921)

大正4年(1915年)からは来日した外国人画家の作品の版画化にも試み、鏑木清方の門下生を門下生を中心とした新進気鋭の画家たちを絵師に起用しました。絵師、彫師、摺師の協業のもと、高品質な材料を用い、それまでにない複雑かつ華麗な彩色に「ざら摺り」など手摺りならではの技法を駆使。庄三郎の創意工夫と審美眼に支えられた新たな「浮世絵木版画」は、昭和の初めに国内外で巻き起こった新版画ブームの”火付け役”となりました。

チャールズ・W・バートレット《ホノルル浪乗競争》 大正8年(1919)

本展では、残存数が少ない貴重な初摺の渡邊版を展示するとともに、庄三郎のこだわりや制作秘話を紹介。庄三郎の挑戦、発想力、モダンな精神に裏打ちされた多彩な表現に触れることができますイギリスの版画家・チャールズ・W・バートレットの水彩肉筆画《ポンディシェリー》をなど初公開の作品も必見です。

川瀬巴水《東海道風景選集 馬入川》 昭和6年(1931)
平野白峰《対鏡(鏡の前)》 昭和7年(1932)
小原祥邨《山葡萄に四十雀》 昭和初期

(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)

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