【プレビュー】「ヴィンテージライターの世界 炎と魅せるメタルワーク」 たばこと塩の博物館で9月10日から

「ヴィンテージライターの世界 炎と魅せるメタルワーク」
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会期
2022年9月10日(土)〜12月25日(日) -
会場
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観覧料金
⼤⼈・⼤学⽣:100円 / 満65歳以上の⽅(要証明書):50円 /⼩・中・⾼校⽣:50円
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休館日
⽉曜⽇(但し9/19、10/10は開館)、9⽉20⽇(⽕)、10⽉11⽇(⽕)
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開館時間
10:00〜17:00 (⼊館は16時30分まで) -
アクセス
とうきょうスカイツリー駅から徒歩8分 - カレンダーへ登録
現在ではありふれた存在となっているライターですが、その歴史をひも解くと、⼯夫に富んだ着火の仕掛け、⼀服の時間を和ませる遊び心あふれるデザイン、メッキや塗装で強く美しく加⼯された金属製品ならではの質感など、機能美と装飾美を見出すことが出来ます。
たばこと塩の博物館で、9⽉10⽇(⼟)から12⽉25⽇(⽇)まで開催される「ヴィンテージライターの世界 炎と魅せるメタルワーク」展では、館蔵資料の中から、ライターの前身である様々な着火具をはじめ、ダンヒル、ロンソン、エバンスなどのメーカーが⼿がけた銘品や、ユニークな造形のテーブルライターなど約200点を展⽰。
さらに、戦後間もない時期の国産オイルライターも展⽰し、たばこと塩の博物館が位置する隅⽥川周辺地域の地場産業でもあったライター産業のあゆみを紹介します。
1. “ワンモーションで着⽕”への道

ライター開発の歴史は、「火打ち石と火打ち金とで火花を起こし、その⽕花を燃料に移して⽕を得る」という⼈類が古来⾏なってきた着⽕⽅法を、いかにして⼀発の操作で実現、かつ安全に手軽に持ち運べるようにするかの⼯夫の歴史ともいえるでしょう。
本章では、1920年代にオイルライターが普及するまでの歩みにスポットをあて、現在も広く使われているオイルライターの中から「ZIPPO(ジッポー)」を例に、着火の仕組みを解説します。
また、オイルライター登場以前の着火具や様々な仕組みのライターを展⽰し、ライター発展の歴史が紹介されます。さらには、あまり知られていない「ヒューズライター」や「ストライカー」といったライターの着火の仕組みも映像で紹介。


2. 銘品の時代
1920年代の欧米では、オイルライターが普及するにつれ、ポケットライターは装身具、テーブルライターは調度品として、その外観も重視されるようになります。世間でのアール・デコの流⾏は、ライターの世界にも大きく影響を与え、1920〜1950年代には、アール・デコの特徴である幾何学的なデザインを取り入れた銘品が数多く生まれました。
この章では、ダンヒル、ロンソン、エバンスなどのメーカーが⼿がけた銘品の数々が展示されます。
【ダンヒル】 イギリス
元々は馬具製造業を営んでいましたが、自動車用品店を開業したのち、パイプやたばこを扱うようになり、ライターも手掛けました。使い勝手や装飾に多彩な工夫が施されています。


【ロンソン】 アメリカ
金工品メーカーで、元はブックエンドや置き時計などを手がけていました。メタリックな質感を活かした装飾が見どころです。


【エバンス】 アメリカ
ハンドバッグなどの製造のかたわら、婦人用の小物も製造した同社は、コンパクトやハンドミラーとともにポケットライターを製造しました。優美な造形や華やかな色合いが特徴です。


3. 広がるライター:第⼆次世界大戦とその後
アメリカ軍が兵士に支給した「ジッポー」は兵士の携帯品として定着する一方で、従来のジッポーの原材料である真鍮は軍事物資でもあったため、鉄製の基体にさび止めの黒い焼付け塗装を施した「ブラッククラックル」モデルが採用されました。

日本では1920年代からオイルライターの製造が本格化しますが、日中戦争勃発後は軍需以外の金属使用の制限により、ライター製造業は廃業に追い込まれるなど、戦争はライター業界にも暗い影を落としました。
やがて戦争が終わり、軍需産業を中⼼とした経済からの急速な転換が求められる中で、廃材や軍需用に保有されていた⾦属を材料に転用できるオイルライターは復興期に好適な製品となります。
1960年代以降にガスライターが普及すると、日本のライター産業はガスライターの輸出によって飛躍的な成⻑を遂げます。終戦直後に日本で作られたライターは、海外の観光地でお土産として売られるなど、手軽な品として人気を伸ばしました。

4. ライター珍品奇品
まるでオブジェのような、ユニークな造形のライターも多く存在します。特にテーブルライターは、サイズも造形も⾃由が利くことからバラエティに富んでいます。


スロットマシーンのように見えるテーブルライターは、レバーを倒すとスロットが回り、右上の穴から火が出る仕組み。どうやって火を点けるか、どこに火が灯るのかも想像しながら観賞してみてはいかがでしょうか。
(読売新聞美術展ナビ編集班)