【プレビュー】生きている色、を描く 「流 麻二果 その光に色を見る」展 高梁市成羽美術館で9月17日開幕

「言外の意味/Implication」2022年

流 麻二果 その光に色を見る Spectrum of Vivid Moments

「色彩の画家」と呼ばれる流麻二果さん。美術館やギャラリーでの作品発表をはじめ、建築空間の色彩設計やインスタレーションなど、多彩な仕事で国際的に活躍しています。

「曖昧の眼/More Than Meets the Eye」2022年

今展では、作家らしい躍動的できらびやかな光を感じる作品や、遥か彼方に思いをはせるような静寂さをたたえた作品を紹介します。

「あちらの/That Direction」2021年
「薄薄みえてくる/Kind of Knew」2022年
「光芒/The Shaft」 2022年

「女性作家の色の跡」シリーズも注目

さらに近年、作家が力を入れている「女性作家の色の跡」シリーズの作品も展示されます。過去に画家を目指しながら、女性であることを理由に制作を諦めたり、今ではほとんど無名に近い女性作家の作品をモチーフにし、その色彩を再構成して新たな息吹をもたらします。地域的に近い高松市美術館(香川)や倉敷市立美術館(岡山)所蔵の女性作家作品を基にして、新たに制作した作品も本展で初公開されます。

同展に臨むにあたり、作家のステートメントで流さんは「私は自然光のもとで絵を描く。色を見つけるには、人工の強い光ではなく、柔らかく隅々まで照らしてくれる太陽の光が必要だからだ。強い光のもとでは、あらゆるものが明るみになる。と同時に、影になって見えなくなるものもある。社会の仕組みの中で見えなくなってしまっているもの、我々が見て見ぬふりをしてきたもの。」(中略)「そして日本文化が作り出した『女性らしさ』に抑圧されながらも制作した作家たちの作品の力強い光。そうした光を見つけ、受け止め、その光のもとに見えてくる多彩な色を『生きている色』として描く。その光に色を見る。」と自らの問題意識について述べています。

高梁市成羽町(たかはししなりわまち)は、岡山県の西部に位置する緑豊かな町です。美術館は成羽町が生んだ洋画家、児島虎次郎の遺徳を顕彰するため、岡山県初の町立美術館として1953年に開館し、1994年に3代目の建物が現在地に新築されました。設計は安藤忠雄氏によるもので、コンクリートの壁と周囲の緑が調和した美しい景観で知られます。

現代美術の祭典である『瀬戸内国際芸術祭2022』(秋は9月29日~11月6日)や、『岡山芸術交流2022』(9月30日~11月27日)なども開催される時期。あわせて足をのばしてみるのはいかがでしょう。

「かたちは残る/That Shape Stays」 2021年
「そちらに/The Other」 2021年

流  麻二果(ながれ・まにか):1975年生まれ。1997年女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻卒。2001年トーキョーワンダーウォール審査員長賞。2002年文化庁新進芸術家在外研修員(ニューヨーク滞在)。2004年ポーラ美術振興財団在外研修員(ニューヨーク・トルコ滞在)。2018年CSデザイン賞受賞(2020)。http://www.manikanagare.com

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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