金の箱の中は?軍配の表と裏は? 徳川美術館の特別展「お宝のうら!なか!そこ!」から3点を学芸員が紹介

普段は目にする機会のない貴重な文化財の裏側や内側を紹介する特別展「お宝のうら!なか!そこ!」が徳川美術館(名古屋市)で9月11日まで開かれています。担当学芸員の薄田大輔さんに3点の見どころを紹介してもらいました。

内側は別世界 秋風になびく草花がはかなげに

葵紋扇散蒔絵鼓箱 江戸時代 17世紀(徳川美術館蔵)
豊臣秀頼ひでよりから尾張徳川家初代義直よしなおに贈られた能で演奏される小鼓の収納箱です。
表側には、金・銀の薄板を文様に切って貼る金貝かながい蒔絵まきえで扇がデザインされていますが、蓋を開けた内側では別世界が広がります。
内側には金銀泥きんぎんでいで描かれた秋草図が側面と底面に貼られています。金銀といってもギラギラとした濃彩ではなく、かすれを伴う繊細な筆致によって光が抑えられ、秋風になびく草花がはかなげに表されています。

戦で使用 神仏の力宿す

白鳩・龍図軍扇 徳川義直(尾張家初代)所用 江戸時代 17世紀(徳川美術館蔵) 展示期間 8月17日~9月11日
武将が戦場で用いた扇です。戦場で命を懸け戦う武士たちは、仏教や陰陽道、修験道に由来する図様を軍扇の表裏に用いて、神秘の力を借りました。また、その軍扇で指揮を執ることで、戦の勝敗をも左右すると信じられていました。
この軍扇の表には武運の神である八幡神はちまんしんの使いとされる白鳩、裏には仏法を守護する龍が描かれており、軍扇に神仏の力を宿そうとしていたことが分かります。

屏風裏に鶴 めでたさ強調

群鶴図屏風(右隻) 江戸時代 18~19世紀(徳川美術館蔵) 展示期間 右隻8月17日~9月11日
当館を代表する名画の一つ、伝狩野山楽かのうさんらく筆「四季花鳥図屏風びょうぶ」の裏に貼られた「群鶴図ぐんかくず」です。
江戸時代には、婚礼などの盛儀のためにあつらえられた屏風には、裏にも別の絵が貼り付けられることがありました。
この屏風の表は四季の花鳥が一堂に会す楽園を描いた吉祥の絵で、その裏に左右隻合わせて41羽もの鶴の群れを描いたのは、華やかさとめでたさを強調するためでしょう。
「群鶴図」は表の「四季花鳥図」よりも後に描かれているため、ハレの空間を飾るために後世に両面図屏風に仕立てられたとみられます。

特別展「お宝のうら!なか!そこ!」
会場:徳川美術館(名古屋市東区徳川町1017)
会期:2022年7月24日(日)~9月11日(日)
※期間中展示替あり(前期:7月24日~8月16日、後期:8月17日~9月11日)
休館日:月曜日
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料:一般1400円、大・高生700円、小・中生500円
詳しくは美術館公式サイト

(読売新聞中部支社事業課)
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