政子や頼朝の人形も 名手の傑作、気軽に間近で 「川本喜八郎 人形ギャラリー」 渋谷ヒカリエ

「鎌倉殿の13人」などで最近、源平合戦をめぐる群像に熱い注目が集まっています。往年のNHK人形劇の名作「平家物語」の再放送も話題に。この「平家物語」などの人形美術を担当した川本喜八郎さん(1925-2010)の作品は、東京でも気軽に見ることができます。渋谷ヒカリエにある「川本喜八郎 人形ギャラリー」です。なお、ここで紹介した展示は11月20日(日)までのものです。展示替え休館をはさみ、11月27日(日)から新展示となります。



日本を代表する人形美術家、アニメーション作家である川本さんは渋谷区千駄ヶ谷の生まれ。その縁もあって生前から地元に作品を展示する施設を作る構想があり、渋谷区側と協議を重ねていました。結局、逝去から2年後の2012年6月、ギャラリーがオープン。以来、渋谷区が所蔵する200体を超える川本作品のコレクションから、半年おきに展示を入れ替えて紹介をしています。コレクションはNHKで放送された人形劇「三国志」「平家物語」で、実際に使用された人形が中心です。

NHK「人形歴史スペクタクル 平家物語」は1993年に放送開始。川本さんは人形美術を担当しました。今回は義経追討前後のストーリーに合わせて、源平双方の主な登場人物を展示しています。










ひとつひとつの人形に明確なキャラクターが与えられており、その的確な造形に圧倒されます。また、長い歴史を経て完成に至った「平家物語」や源平の戦いのストーリーだけに、個々の登場人物も確固たるイメージが出来上がっていることが改めて分かります。
NHK人形劇「三国志」は1982年に放送。やはり川本さんは人形美術を担当。こちらの展示も見応えじゅうぶんです。


ここで紹介した展示内容は11月20日(日)まで。21日~26日は展示替えのため休館し、11月27日(日)からは平家物語「第一部 青雲」と、三国志「三国鼎立」をテーマにした新展示に切り替わります。入場無料です。渋谷に立ち寄りの際、足を運んでみてはいかがでしょう。コンパクトな会場ですが、迫力満点の作品を間近で見られる喜びを味わえます。
名称:川本喜八郎 人形ギャラリー
入館料:無料
開館時間:午前11時~午後7時
休館日:無休(ただし年末年始、展示入替期間は除く)
所在地:渋谷区渋谷21-1 渋谷ヒカリエ8階
詳しくは渋谷区のサイト(https://www.city.shibuya.tokyo.jp/shisetsu/bunka/kihachiro_gallery/index.html)をご覧ください。問い合わせ先は渋谷区文化振興課交流推進係(03-3463-1142、※平日8:30~17:15)へ。
(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)