万国津梁の鐘、王家の黄色! 九州国立博物館で開催中の琉球展 3人の学芸員に見どころを聞いた

九州国立博物館(福岡県太宰府市)で9月4日まで開催中の沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」。沖縄の独自の歴史と文化を育んだ琉球王国の成立や特色を、国宝の尚家宝物など沖縄が誇る多様な文化財を通じて紹介している。注目の展示品について、九博の学芸員に解説してもらった。
世界つなぐ 刻んだ梵鐘

三山(山北・中山・山南)に分かれていた琉球の統一を成し遂げた第一尚氏六代の
一連の梵鐘制作は、仏教によって国を守ろうとする、鎮護国家思想の反映と考えられる。琉球随一ともいうべきこの鐘の制作には、王府の要請に当時南方との交易を積極的に推進していた周防の守護大名大内氏が関与し、当地を訪れた豊前(現・北九州市)の小倉鋳物師による「
(九州国立博物館企画課主任研究員・望月規史)
立体感と彩色 漆芸の粋

昭和3年11月の昭和天皇即位を祝す御大典礼に合わせて、沖縄県から献上された
琉球漆芸の特色の一つである
ぜひ会場で、この強烈な存在感を放つ作品をじっくりご覧いただきたい。
(九州国立博物館企画課特別展室長・川畑憲子)
王家の黄色 格式の紅型

この
裾文様は「海水江崖」という清代の官服に多く用いられた中国由来の文様。また、鳳凰文も中国では皇帝の龍と対になる文様として皇后が用いたものだ。本作は中国の皇后の衣裳を紅型で表そうとしたような、格式の高いものと言える。
他にも中国風の吉祥文様が散らされる一方、花の折枝や楓、
紅型の技法は、アジア諸国との文化的交流の中で成立したと考えられる。この
(九州国立博物館企画課研究員・桑原有寿子)
沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」 |
---|
会場:九州国立博物館(福岡県太宰府市石坂4-7-2) |
会期:2022年7月16日(土)〜9月4日(日) |
休館日:月曜日 (ただし8月15日〈月〉は開館) |
観覧料:一般1,900円/高大生1,200円/小中生800円 |
詳しくは沖縄復帰50年記念 特別展 琉球か同館の公式サイトヘ。 |
(ささっとー編集部)
福岡ふかぼりメディア「ささっとー」(8月6日公開)の記事を再掲。