京都でも大団円の感動を!「連載完結記念 ゴールデンカムイ展」京都文化博物館で9月11日まで

「連載完結記念 ゴールデンカムイ展」の会場風景 Ⓒ野田サトル/集英社

「連載完結記念 ゴールデンカムイ展」
会場:京都文化博物館
会期:2022年7月9日(土)~9月11日(日)
休館日:月曜日
開室時間:10:00~18:00 ※金曜日は19:30まで(入場はそれぞれ30分前まで)
入場料:一般・大学生1,500円、中・高校生1,200円、小学生900円
詳しくは京都会場公式サイト

7月19日に待望の完結巻(31巻)が発売された野田サトル先生による人気漫画『ゴールデンカムイ』(集英社刊)。その世界観だけでなく、完結した瞬間の感動も体感できる全国巡回中の「連載完結記念 ゴールデンカムイ展」が7月9日に京都文化博物館(京都市中京区)で開幕しました。夏休みシーズンど真ん中の会期とあって、「絶対に行く!」と思っている方も多いのでは?
「週刊ヤングジャンプ」で約8年間の連載を終えた同作の連載完結記念として、東京会場を皮切りに京都、福岡、さらには作品の舞台となった北海道へも巡回が決定している同展。
では京都会場なので「武士道」を貫いたあの登場人物たちに特に注目しながら、ご紹介しましょう。(本展覧会の展示には、アニメ化されていないストーリーも含まれます。本レビューでもコミックス30、31巻の内容について触れていますのでご了承ください)

杉元、アシㇼパ、囚人たち、第七師団の面々まで濃厚に展示

杉元佐一のコーナー Ⓒ野田サトル/集英社

同作は、明治末期の北海道・樺太を舞台に、日露戦争で「不死身の杉元」という異名を持つ元兵士・杉元佐一とアイヌの少女アシㇼパらが、アイヌが隠した金塊をめぐって争奪戦を繰り広げるバトルサバイバル漫画。 “和風闇鍋ウエスタン”と称されるほど、シリアスもギャグも混ぜこぜに、歴史やグルメ、文化、アクションなど様々な要素が濃く絡み合った骨太な冒険活劇です。

それぞれの登場人物の背景や人生がしっかりと分かるストーリーなので、敵味方に関わらず、どの人物にもファンが多い同作。全6ゾーンの展示は、第1ゾーンで主要な登場人物が、第2ゾーンで物語のカギを握る莫大な金塊の手がかりになるいれずみが刻まれた24人の脱獄囚(網走監獄囚人)が紹介されていきます。

このリアルさ、まるで生きているかのよう! 関連資料に裏付けられた物語世界

同作は、もちろんフィクションですが、約120点ものイラストとともに、作中に登場したもののモデルとなった関係資料を観ると、まるで実在した人物だったかのようなリアリティーを感じます。

杉元佐一の軍帽 Ⓒ野田サトル/集英社
アシㇼパのトレードマークであるマタンプㇱ(鉢巻き)Ⓒ野田サトル/集英社

元兵士・杉元のトレードマークである軍帽や身に着けていた背嚢はいのう、アシㇼパのトレードマークであるマタンプㇱ(鉢巻き)やマキリ(小刀)といった持ち物などの関連資料から、「本当は、杉元もアシㇼパも実在したのでは!?」と思い込んでしまいそうになるほど、野田先生の熱量を感じます。

アシㇼパのマキリ Ⓒ野田サトル/集英社

特に関連資料の横にある「野田先生のコメント」はお見逃しなく。例えば、アシㇼパのマキリ(小刀)は、父・ウイルクが作ったものとして、母娘で似たマキリを持っている設定になっていたのですね。

白石由竹と谷垣源次郎のコーナー Ⓒ野田サトル/集英社

また、主人公たちの仲間である脱獄王・白石由竹や阿仁マタギの谷垣ニㇱパこと谷垣源次郎といった主要な人気キャラはもちろん、隠し金塊の争奪戦を繰り広げ敵対する第七師団のリーダー・鶴見中尉や彼を慕う薩摩隼人の鯉登少尉など、関連資料とパネルを前にテンションが上がること間違いなし。

京都といえば、「武士道」を貫いたこの方々に注目!

土方歳三のコーナー Ⓒ野田サトル/集英社
永倉新八のコーナー Ⓒ野田サトル/集英社

実在の人物がモデルになったキャラクターも多い同作ですが、本当に実在した人物も登場しています。京都会場でゆかりがあるといえば、幕末に京都で治安維持活動をおこなった浪士隊「新撰組」。同作の主要キャラには、「新撰組」鬼の副長・土方歳三と二番隊組長・永倉新八がいます。

第4・5ゾーンに展示されている関連資料「土方歳三のウィンチェスターライフルM1892」(野田サトル蔵)
Ⓒ野田サトル/集英社

特にクライマックスの30~31巻で函館・五稜郭で、主人公たちとともに第七師団と戦う土方と永倉の姿に胸を熱くした方は多いのではないでしょうか。

永倉の「土方歳三に助太刀してくる 今度は最後まで付き合いたい」(30巻、第293話より)や、当初の目的である金塊の分け前など忘れて、アシㇼパのために戦う杉元に「いや…武士道だよ 杉元佐一」(30巻、第302話より)と語りかける土方などなど。

2人が作中で生き様として体現する「武士道」もまた同作の見どころのひとつと言えます。

余談ですが、新撰組ファンには嬉しいことに、京都文化博物館で10月1日より「新選組展2022」が開催され、予告のパネルが館内に掲示されていました。『ゴールデンカムイ』でも登場した土方歳三の愛刀「和泉守兼定」の展示も予定されています。完結巻で、土方が最後に、杉元に「持っていけ…きっと役に立つ」(31巻、第308話より)と渡したあの刀です。同作の土方、永倉ファンの皆様は、引き続き、京都文化博物館の展覧会を見逃せませんね。

そして、金塊の在処を示す刺青が彫られた24人の囚人達全員が紹介されている第2ゾーン。当時の新聞の切り抜きから、「不敗の牛山」牛山辰馬をはじめ、実在の人物がモデルとなっているキャラたちが結構多いことに驚かされます。

第2ゾーン「24人の刺青囚人」パネル Ⓒ野田サトル/集英社

アイヌの食、言葉、文化を知る

『ゴールデンカムイ』でアイヌ文化やアイヌ料理を初めて知った方も多いのでは? グルメ漫画と言っても差し支えないほど、詳細な作り方とともにアイヌの人々の多様な食文化が紹介されており、読みながら「食べてみたい!!」と思った方も多いはず。

第3ゾーン「命を繋ぐものたち」パネル Ⓒ野田サトル/集英社

作中では、アシㇼパが作る鹿や熊など様々な生き物の肉のオハウ(鍋物)、彼女が“チタタㇷ゚”と言いながら、食べづらい部分をタシロ(山刀)で叩く姿も印象的でした。

チタタㇷ゚のサンプル Ⓒ野田サトル/集英社

また、同作で初めてアイヌ語を知った方も多いことでしょう。「カムイ(神)」や「オソマ(大便)」、食事中に笑顔でアシㇼパが言う「ヒンナ(感謝)」など、作中で何度も出てきたアイヌ語に親しみを覚えたはず。同作にはアイヌ語監修者(中川裕氏)がおり、唯一の公式解説本『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』(集英社新書)も出版されています。本展とともに読むとより深くアイヌ文化を知ることができます。

第3ゾーン「命を繋ぐものたち」展示風景 Ⓒ野田サトル/集英社

アイヌといっても北海道アイヌ、樺太アイヌでは文化が異なることも作中で紹介されていました。さらに、ウイルタ、ニヴフ、ロシアと様々な北方の民族の文化が描かれていたのも大きな特徴です。

第3ゾーン「命を繋ぐものたち」パネル Ⓒ野田サトル/集英社

大団円の感動を来場者とともに再び味わう

第4ゾーンからは、いよいよクライマックスへ。3つの大きな戦いを軸に物語の名シーンがイラストやパネルで登場。

第4ゾーン「それぞれの役目」展示風景 Ⓒ野田サトル/集英社

たくさんの名セリフが心を打ち、最終章に向かうまでのドキドキハラハラしたあの臨場感を会場で再び味わうことができます。

第4ゾーン「それぞれの役目」展示風景  Ⓒ野田サトル/集英社

そして、骨太なストーリーと各登場人物の繊細な心の機微が丁寧に描かかれたゴールデンカムイの魅力を再確認しました。

第5ゾーン「黄金色名画廊」展示風景 Ⓒ野田サトル/集英社

展覧会の最後を締める、野田サトル先生渾身の巨大な特別展示イラスト《け》など、展覧会のために描きおろされたイラストも多数あり、杉元とアシㇼパの2人が歩んだ大スペクタクルな旅路を追体験しながら、「あぁ、本当に完結したのだ…!」と改めて感動するはずです。

毎週金曜は「脱獄王 白石由竹フライデー」か「鶴見中尉フライデー」

会期中の金曜日には隔週で、「脱獄王 白石由竹」のお面、「鶴見中尉」もしくは「鯉登少尉」のお面がランダムでプレゼントされます。当初は午後6時以降の入場でもらえる「脱獄王 白石由竹ナイト」&「鶴見中尉ナイト」だったのですが、混雑緩和のため「脱獄王 白石由竹フライデー」「鶴見中尉フライデー」に名称変更し、午前10時から、上記のお面がプレゼントされます。*お面は各回、予定数を配布次第終了となります。

白石や鶴見中尉、鯉登少尉になりきり気分で展示を観ると…杉元やアシㇼパに対する印象もまた違ってくるかもしれません!

(ライター・いずみゆか)

(イベントの該当日については、展覧会の公式サイト京都文化博物館の展覧会公式サイト京都展の公式ツイッターなどで最新の情報を確認してください)

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