【開幕】繊細、かつ大胆 有無を言わさぬ迫力 「アールブリュット2022巡回展 かわるかたち」 東京都渋谷公園通りギャラリー

井上優《5人のかお》 2014年 鉛筆、水彩紙 やまなみ工房蔵

アールブリュット2022巡回展 かわるかたち いろいろな素材、さまざまな表現

国内外で活躍している10名の作家を紹介します。都内3か所を巡回する展覧会で、最初の会場となる東京都渋谷公園通りギャラリーでは最大規模の約70点を展示します。この迫力、ぜひ会場で感じてほしい力作ぞろいです。

<濱中 徹> 1948ー  兵庫県生まれ

高校卒業以降から制作を続け、近年、注目の作家。身近な生物や空想上の機械、物語を創造し、紙上に落とし込みます。スケールやコンパスを用いた精密な線が形作る「かたち」に魅了されます。

 

<渡邉あや> 1987- 新潟県生まれ

修学旅行で沖縄に行った経験をきっかけに、飛行機を題材に描きはじめました。2017年からはアメリカやスペインなど具体的な国を題材にした作品を制作。その鮮やかな色彩感覚と遊び心たっぷりの画面構成に驚かされます。

 

<吉川秀昭>   1970ー  滋賀県生まれ

模様のように見えるのは顔のパーツの集合体。よくみるとひとつひとつに「目、目、鼻、口」があり、これを独自のリズムで平面や立体に繰り返し描いていきます。空白の使い方も巧みで、その世界観に唸らされます。

 

<稲田萌子> 1985ー 京都府生まれ

ゆったりとした独自のリズムで円を描く動作を繰り返し、作品が成立します。主に色鉛筆を用いており、一見、ひとつひとつの作品は同じ色のように見えて、よく観察すると別の色が混じっており、色彩感覚にも鋭さを感じます。

 

<本田雅啓> 1983ー 福岡県生まれ

野菜や昆虫、動物、風景や物語のキャラクターなど様々なモチーフを単純化。幾何学的に組み合わせ、複雑な構成の中で描きます。ライブペインティングを得意としていて、建物の壁やシャッター、重機などにも描きます。

 

<青木 尊> 1968ー 福島県生まれ

富士山が連なるかのような不思議な山、力強いキャラクターを感じさせる人物画など、目が離せなくなる迫力のある作品ぞろい。一方、画面は丁寧に書き込まれていて、計算された画面構成であることが伝わってきます。

 

<五十嵐朋之> 1977ー 東京都生まれ

刺繍やペン画、染め、折り布など多彩な手法を使いこなし、昆虫や魚貝、植物、建物、人物などのモチーフを描いていきます。添えられた言葉遣いが独特で、ついついメッセージの読み解きを試みてしまいます。

 

<萩尾俊雄> 1987-   福岡県生まれ

厚手のチラシとセロハンテープを主な素材に、特撮テレビ番組に出てくる怪獣などをモチーフにしたオリジナルの立体などを作ります。鋭くとがった角や牙、突起など、細かい造形も巧みで、立たせるバランスも見事です。

 

<佐々木早苗> 1963ー 岩手県生まれ

丸や四角の面はボールペンやカラーペン、刺繍などで描かれており、素朴なようで複雑なニュアンスに富んでいます。もともと誰かに見られることを意図して作った作品ではなく、徐々に優れた表現者であることが認知されたといいます。

 

<井上 優> 1943ー 滋賀県生まれ

70歳を超えてから本格的な創作活動を開始。迷いのない線と面で描かれる人の形が印象的です。光るほど塗りこめられた色の面は、鉛筆を丁寧に重ねて描いています。会場には、使い込まれて極限まで短くなった鉛筆も展示されています。

「家に持って帰りたい」と思わせるほど魅力的な造形の数々です。夏休み、渋谷にお立ち寄りの際は、ぜひ公園通りの一角にあるギャラリーへどうぞ。

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)
◆練馬区立美術館、府中市美術館に巡回します。詳細は以下から。

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