【プレビュー】「かこさとし展 子どもたちに伝えたかったこと」 Bunkamura ザ・ミュージアムで7月16日開幕

かこさとし展 子どもたちに伝えたかったこと

※会期中のすべての土日祝および829日(月)〜94日(日)は一部オンラインによる入場日時予約が必要です。

詳しくは展覧会特集ページへhttps://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_kako/

「だるまちゃん」シリーズや『からすのパンやさん』などで知られる、絵本作家かこさとし(加古里子、1926-2018)。初期から晩年までの代表作だけでなく、初公開となる作品や貴重な資料が一堂に集まる展覧会が、716日(土)からBunkamura ザ・ミュージアムで開幕します。

「美術」と「科学」への大きな関心

現在の福井県越前市に生まれたかこは、7歳のときに東京・板橋に移り住み、この頃から絵を描くことが好きだったといいます。一方、大学では、工学部で応用化学を学び、科学者を目指しました。その後、戦争を経験し、生きる意味を見失ったかこは、自画像などの絵を描くことで自分自身と向き合い、生きる道を探っていきます。大学卒業後は、研究者として昭和電工に入社。そこで生きるために懸命に働く人々の姿に感動したかこは、彼らの姿も絵にしています。本展では、絵本を手がける以前のかこの絵画作品も紹介し、絵に対する思いや姿勢、表現力を垣間見ることができます。

絵本制作の原点となった紙芝居づくり

大学時代に演劇研究会に所属したかこは、舞台装置のデザインや制作を担当し、子ども向けの演劇脚本も手掛けました。会社員となっても仕事の傍ら「人形劇団プーク」の手伝いをするなど、児童文化活動に意欲的に取り組んでいます。

その一環として、のちの絵本制作に大きな影響を与えたのが、紙芝居の制作でした。1951年からは、セルツメント(戦前に始まったボランティア活動)の子ども会活動に注力するようになり、仕事の合間を縫って紙芝居を制作しては子どもたちに披露していました。本展では、そんなセルツメント活動から生まれた作品も展示。紙芝居作品の原画のほか、フィルムに写した図像を光でスクリーンに投影して見る幻灯作品も目にすることができる貴重な機会となっています。

絵本の楽しさの中に秘められた学びにも着目

もちろん、絵本作家としてのかこさとしワールドもたっぷりと紹介します。かこの代表作にして不朽の名作「だるまちゃん」シリーズと『からすのパンやさん』については、作品の誕生秘話とともに、選りすぐりの名場面からストーリーに散りばめられた学びの要素を紐解いていきます。

展示室内には『からすのパンやさん』に出てくる個性豊かなパンの数々がフォトスポットとして登場するとのことなので、そちらもお楽しみに!

また、かこは子どもたちの好奇心をくすぐり、学びのきっかけとなるような絵本をさまざまな分野にわたって制作してきました。身近なものの仕組みを図解した『どうぐ』や、体のメカニズムを教えてくれる『たべもののたび』、多様性について考えさせられる『しろいやさしいぞうのはなし』など、かこの絵本で繰り広げられる世界には楽しさと共に発見や気づきなどの学びが巧みに秘められています。

 

初公開となる未完の大作も

かこは科学者としての知識や経験を活かして科学絵本の制作にも力を入れました。新たな発見もある科学の世界。かこは絵本の内容が少なくとも20年の間、その内容が正しいものであるように心がけたといいます。また、『海』『地球』『宇宙』など壮大なテーマを扱う絵本では、日常目にするような身近なものとの比較からはじめており、分かりやすく丁寧に伝えることに心を砕いていたことがうかがえます。

そんな科学絵本の集大成となるのが、本展で初公開となる「宇宙進化地球生命変遷放散総合図譜」(複製)です。最後まで生きとし生けるものへの愛情と理解を探求し続け、描き表わそうとした、かこの渾身の一枚。細かく描き込まれた幅5メートルにも及ぶ生命図譜は、写真で見るだけでも圧巻です!

かこは2018年に92歳でこの世を去るまでに600冊を超える作品を残しました。彼が絵本を通して未来に残し、伝えたかった想いとは何か。その答えが詰まった本展をどうぞお見逃しなく!
(ライター・岩本恵美)

7月16日に開幕する展覧会

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