【プレビュー】「美をつくし―大阪市立美術館コレクション」展 サントリー美術館で9月14日から 長期休館となる大阪市美から厳選された優品が一堂に

「美をつくし―大阪市立美術館コレクション」展
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会期
2022年9月14日(水)〜11月13日(日) -
会場
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観覧料金
一般1,500円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
(前売:一般1,300円、大学・高校生800円) -
休館日
火曜日(ただし11月8日は18時まで開館)
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開館時間
10:00〜18:00 金・土および9月18日(日)・22日(木)、10月9日(日)、11月2日(水)は20時まで開館*いずれも入館は閉館の30分前まで -
アクセス
都営地下鉄大江戸線六本木駅、東京メトロ日比谷線六本木駅より直結、東京メトロ千代田線乃木坂駅から徒歩約3分(東京ミッドタウンまで) - カレンダーへ登録
※作品保護のため、会期中展示替を行います。
大阪市立美術館は、東京・京都に次ぐ日本で3番目の公立美術館として、昭和11年(1936)に開館しました。日本・中国の絵画や書蹟、彫刻、工芸など8500件を超えるコレクションを誇り、建物は登録有形文化財にも指定されています。2026年の開館90周年を前に大規模改修工事が行われることになり、今年秋から長期休館します。この大阪市立美術館の収蔵品から厳選された優品の数々が、サントリー美術館(東京・六本木)にやってきます。会期は9月14日~11月13日。
第1章 世界に誇るコレクション 珠玉の中国美術
第1章では、国内屈指の書や絵画などの中国美術コレクションを紹介します。日本人が室町時代以来、好んできた中国書画とは一線を画す、本場中国の保守本流を追うような堂々とした書画が多くあるのが特徴。東洋紡績株式会社の社長を務めた阿部房次郎氏のコレクションが中心です。


関西の実業家・山口謙四郎氏による石造彫刻コレクションも充実。年代がわかる在銘作品により中国の彫刻史を通覧できる点でも貴重とされています。


第2章 祈りのかたち 仏教美術
大阪市立美術館は、開館以来、関西を中心とする社寺などから貴重な宝物の寄託を受け入れてきました。地域の文化財の保存と活用を目指した先駆的な公立美術館だったのです。
一方で、社寺からの寄託品だけでなく、館蔵の仏教美術コレクションの拡充に大きな役割を果たしたのが、大阪で弁護士・政治家として活躍した田万清臣氏と夫人の明子氏です。稀代のコレクターだった田万夫妻の個性的な作品へのまなざしと、真摯な信仰心に裏づけされた祈りの世界に触れることができます。


第3章 日本美術の精華 魅惑の中近世美術
日本中近世美術のコレクションは、大阪市立美術館の”花形”。「百鬼夜行絵巻」や「四季花鳥図屏風」、「邸内遊楽図屏風」など、多彩な作品や絵師たちを生み出した、時代の厚みと多様さが見て取れるでしょう。
また「尾形光琳関係資料」は、江戸時代初期の流行や、光琳の資質を伝える貴重な資料で、光琳の子・寿市郎が養子先の小西家に伝えた文書や画稿類を集めたもの。大阪市立美術館を代表するコレクションのひとつです。



第4章 江戸の粋 世界が注目する近世工芸
大阪市立美術館の収蔵品の半数を占めているのは、1912年に来日したスイス人実業家U.A.カザール氏によるコレクションです。日本とその文化を愛してやまないカザール氏が収集した作品は、近世後期から明治期にかけての漆工品や印籠・根付など約4000件にのぼります。
カザール氏のコレクションは、神戸港からアメリカへ渡るはずでしたが、太平洋戦争の勃発により大阪に留まることとなりました。


第5章 はじまりは「唐犬」から コレクションを彩る近代美術
戦中期には、美術館の敷地も提供した住友家が展覧会を開き、その出品作品が寄贈されるなどして、近代日本画の名品も収蔵するようになりました。大阪市立美術館のコレクション第1号である日本画家・橋本関雪の「唐犬」をはじめ、北野恒富の「星」、上村松園の「晩秋」などが展示されます。
「唐犬」は昭和11年(1936)の落成記念に開催された帝展出品作を買い上げた
もので、開館当時におけるいわば「現代美術」でした。



古美術品の収集だけでなく、同時代の美術品も収蔵・展示してきたという点で、先駆的な二刀流(ハイブリッド型)の公立美術館であった大阪市立美術館。長期休館を機に開催される本展は、大阪市立美術館でもそろって展示されることが少なかった優品の数々を東京で一堂に見ることができる貴重な機会となるでしょう。
(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班)