【開幕】新国立劇場 オペラ「ペレアスとメリザンド」 “夢”の世界が鋭く穿つもの 7月2日から

ドビュッシーが唯一、その生涯で完成させたオペラ「ペレアスとメリザンド」が新国立劇場(東京・初台)の新制作として上演されます。7月2日(土)の初日を前に、舞台稽古を取材してきました。「カルメン」などと並んでフランスオペラの象徴ともいえる重要な作品ですが、日本で上演される機会は多くなく、貴重な舞台です。(美術展ナビ編集班 岡部匡志)

メーテルリンクの同名戯曲をほぼそのまま生かしたオペラ。森に囲まれた架空の国を舞台に、二人の王子(ペレアス、ゴロー)と、ひとりの女性(メリザンド)をめぐる愛や嫉妬が描かれます。現実とも空想ともつかない象徴的なストーリーで、ドビュッシーの柔らかで陰翳に富んだ音楽が聴くものを夢のような世界へといざないます。


今回の新制作はまさにその「夢」がキーワード。イギリスで演劇、オペラの両分野で活躍するケイティ・ミッチェルの演出は2016年に「エクサンプロヴァンス音楽祭」で初演され、絶賛されたもの。ある一家にやってきたひとりの女性の夢想としてドラマを構成しました。メリザンドの分身である黙役が重要な役割を果たし、シュールで皮肉なテイストが強まって見る人を飽きさせません。フェミニズムやジェンダーの視点を意識させる、同時代性あふれる内容です。リジ―・クラッチャンの美術もクールです。



キャストも充実。ペレアスのベルナール・リヒター、メリザンドのカレン・ヴルシュ、ゴローのロラン・ナウリとも、得意とする役どころでドビュッシーの繊細な旋律を巧みに歌い上げていました。音楽監督の大野和士が自らタクトを取るピットも注目です。
【公演概要】
[新制作]「ペレアスとメリザンド」 全5幕<フランス語上演/日本語及び英語字幕付き> 作曲・クロード・アシル・ドビュッシー、原作・モーリス・メーテルリンク |
---|
会場:新国立劇場オペラパレス[東京・初台] |
アクセス:京王新線「初台駅」中央口直結(新宿駅からひと駅目) |
日程:2022年7月2日(土)14時開演、6日(水)18時30分開演、9日(土)14時開演、13日(水)14時開演、17日(日)14時開演 |
料金:S席27,500円/A席22,000円/B席15,400円/C席8,800円/D席5,500円 |
スタッフ: 指揮 大野和士 演出 ケイティ・ミッチェル 美術 リジ―・クラッチャン 衣裳 クロエ・ランフォード 照明 ジェイムズ・ファーンコム 振付 ジョセフ・アルフォード |
キャスト: <ペレアス> ベルナール・リヒター <メリザンド> カレン・ヴルシュ <ゴロー> ロラン・ナウリ <アルケル> 妻屋秀和 <ジュヌヴィエーヴ> 浜田理恵 <イニョルド> 九嶋香奈枝 <医師/羊飼いの声> 河野鉄平 <メリザンドの分身(黙役)> 安藤愛恵 <メイド(黙役)> 高橋伶奈、中島小雪 |
合唱:新国立劇場合唱団 |
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 |
お問い合わせは新国立劇場ボックスオフィス TEL:03-5352-9999 (https://www.nntt.jac.go.jp/opera/)をご覧ください。 |