【プレビュー】“捕食者”たちの起源と進化を探る 「大地のハンター展~陸の上にも4億年~」 大阪市立自然史博物館で7月16日開幕

大地のハンター展~陸の上にも4億年~
会場:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23)
会期:2022年7月16日(土)~9月25日(日)
休館日:月曜休館、ただし月曜日が祝祭日の場合は開館し、翌平日が休館。8月1、8、15日は開館
アクセス:Osaka Metro御堂筋線「長居(ながい)」駅 南改札口3号出口から東へ約800m、JR阪和線「長居」駅 東出口から東へ約1km、近鉄南大阪線「矢田」駅 西へ約1.8km
観覧料:大人1800円、大学生・高校生1500円、小・中学生700円、未就学児は無料
※最新情報は公式サイト(https://www.tv-osaka.co.jp/event/huntersonland/)で確認を。

地球上の生き物が陸に上がって4億年。この展覧会では、動物が生きていくために必要な営みである「捕食(捕らえて食べる)」に注目する。捕食に使う顎や歯がどのように進化したのか。そのハンティングテクニックとは――。「捕食者=ハンター」の起源と進化を紹介しながら、生態系におけるその役割と重要性を解き明かし、自然の素晴らしさや地球環境のこれからを考えることへとつなげていく。国立科学博物館のコレクションを中心に、大型のワニやヘビ、ネコ科の哺乳類、フクロウなどの鳥類、ハチなどの昆虫類などの多彩な標本展示で構成する。

ワシミミズク 国立科学博物館蔵

展覧会は「太古のハンター」「大地に生きるハンター」「ハンティングの技術」「フォーエバー・大地のハンター」の4章構成。「太古のハンター」では、遠い昔に栄え、絶滅した生物の系譜を追いながら、ハンターの起源と進化に迫る。節足動物と脊椎動物の顎の成り立ちの違い、中生代に活躍した両生類・爬虫類、新生代の大地に栄えた哺乳類など、化石や骨格標本を通して紹介する。

白亜紀の肉食哺乳類「レペノマムス・ギガンティクス」の化石標本(複製) 国立科学博物館蔵

「太古のハンター」というと大型肉食恐竜、というイメージだが、恐竜が常に生息環境の頂点にいた訳ではない。はるか昔、恐竜を食べていたと推定されるワニ類や哺乳類などにも焦点をあて、太古の地球の多様性を示す。ワニは約2億3000万年前の三畳紀に出現して以来、現生までほとんど形を変えずに水辺の生態系に君臨し続けているハンター。恐竜絶滅後の大地には哺乳類が繁栄した。「爬虫類のような哺乳類」という意味の学名をもつ白亜紀最大の哺乳類「レペノマムス・ギガンティクス」は、鋭い前歯と強靭な顎で、恐竜の幼体も捕食していたとされる。「スミロドン」などがもつ大きな犬歯はハンターの強力な武器。しかし実は犬歯の奥にある「裂肉歯れつにくし」の進化にこそ、肉食哺乳類のハンターが繁栄した答えが隠されている。

マヌルネコ 国立科学博物館蔵

「大地に生きるハンター」で紹介されるのは、さまざまな地球環境に順応している現生のハンターたち。「水辺」、「森・密林」、「草原」、「荒野(砂漠・岩場)」の4つの生息域ごとに代表的なハンターを紹介する。また、「おびき寄せ・待ち伏せテクニック」や「暗闇」などの切り口で、ハンターの特徴を解説する。「ハンティングの技術」で紹介されるのは、獲物を狩るためにハンターたちが進化・獲得した体の仕組みや技術。特別な能力をもつハンター、特定の獲物しか狙わない「偏食」ハンター、「毒」を狩りに利用するハンターなどを取り上げる。

ハシビロコウ 国立科学博物館蔵

最後の章「フォーエバー・大地のハンター」で紹介されるのは、人間によって絶滅したハンターと、逆に生息域を広げたハンター。人間と地球の仲間たちとの持続可能なバランスある関係づくりに向けたメッセージを発信する。

ベルツノガエル 国立科学博物館蔵

多彩な標本展示の中、見どころになるのは、白亜紀に生息していた巨大ワニ「デイノスクス」の実物大生体復元モデル。最新の研究成果をもとに国立科学博物館の研究員による監修で制作し、本展で初公開する。デイノスクスは中生代白亜紀に生息し、恐竜も捕食していたとされる全長 12mにも達する大型ワニ類。強力な顎が生み出す噛む力は 1 ㎠あたり 1600 ㎏ともいわれる。逆に小さなものでは、血を吸うことでさまざまな伝染病を媒介しヒトを死にいたらしめる「蚊」や、これまでの感染例のうち大半が死亡例になっているのだが、生態が謎の寄生虫「芽殖孤虫がしょくこちゅう」など、人類にとって最強のハンターも登場する。

デイノスクス 生態復元モデル 国立科学博物館蔵

(読売新聞美術展ナビ編集班)