愛称は「静嘉堂@丸の内」 静嘉堂文庫美術館、都心に10月1日開館 開館記念展Ⅰ「響きあう名宝ー曜変・琳派のかがやきー」で華々しく幕開け

静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展Ⅰ 「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」 |
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会場:静嘉堂@丸の内(東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階) |
会期:2022年10月1日(土)~12月18日(日) ※[前期]10月1日(土)~11月6日(日)[後期]11月10日(木)~12月18日(日) |
開館時間:10時~17時 ※金曜は18時閉館。入館は閉館時間の30分前まで |
休館日:月曜(10月10日は開館)、展示替え期間(11月7日(月)~11月9日(水)) |
入館料:一般1,500円 大学・高校生1,000円 中学生以下無料 日時指定予約チケットはこちらから |
主催:静嘉堂文庫美術館 |
ホームページ:(https://www.seikado.or.jp/) |
twitter:@seikadomuseum |
問い合わせ:ハローダイヤル050-5541-8600へ |
静嘉堂文庫美術館(東京都世田谷区、河野元昭館長)の展示ギャラリーが移転し、10月1日(土)、東京・丸の内の「明治生命館」の1階に「静嘉堂@丸の内」の新たな愛称とともに、オープンします。開館記念展は静嘉堂が誇る《曜変天目(稲葉天目)》をはじめとする7つの国宝を公開します。三菱第二代社長の岩﨑彌之助(1851~1908)が創設し、その息子の岩﨑小彌太(1879~1945、三菱第四代社長)によって拡充された国内屈指のコレクションが都心の新しいアートスポットで楽しめるようになります。現在、公益財団法人静嘉堂は和漢の古典籍約20万冊と、東洋の古美術品約6500件を所蔵し、そのうちに国宝7件、重要文化財84件を含みます。
見どころ① 皇居のお堀端、悲願のミュージアム 名建築で名作味わう
今回、展示ギャラリーを世田谷区内から、皇居を望む明治生命館に移す静嘉堂。1997年に、昭和の建造物として初の重要文化財に指定された名建築で、意匠設計は東京美術学校(現・東京藝術大学)教授の岡田信一郎と弟の岡田捷五郎によるもの。古典主義様式で知られます。東京駅の皇居側に位置するエリアの「丸の内」は、かつて岩﨑彌之助がその一角にミュージアムを作りたいと願った場所でした。当時、実現には至りませんでしたが、明治25年(1892)という早い時点で、彌之助は丸の内に美術品を公開する構想を持っていたそうです。今回の移転は三菱の礎を築いた岩﨑家の悲願が実現したともいえそうです。
新展示室は同館1階に、当初の建築部分を生かして作られます。高い天井からガラス越しに自然光が差し込む「ホワイエ」と展示室を行き来しながら、建築と作品の響きあいを楽しみましょう。4つの展示室は、中央部の広い「ホワイエ」を取り囲むように設けられています。

見どころ② 国宝7つを(前期に7件すべて展示、後期は4件を展示)すべて公開
静嘉堂の代名詞《曜変天目》は通期で見られます。








見どころ③ 大名物の茶入、400年の謎を解く
三英傑(信長・秀吉・家康)に伝来した唐物茄子茶入の《付藻茄子》と《松本(紹鷗)茄子》が登場します。それぞれのドラマチックな来歴、そしてその2つの茶入れが大坂夏の陣(1615年)で大破し、破片から現在の姿によみがえった修理の技、約400年前の漆繕いの超絶技巧を、最新のX線CT画像からひもときます。

見どころ④ 響きあう「琳派」と「中国美術」
オープニングでは静嘉堂が誇る琳派の名品が一堂に。これに相対するのは、やはり静嘉堂が豊富に所蔵する中国文化の粋たる絵画と工芸品、古典籍です。前期には俵屋宗達の国宝《源氏物語関屋澪標図屏風》が登場、後期には酒井抱一《波図屏風》とともに、琳派の名作が揃います。




東京駅周辺は現在でも東京ステーションギャラリー、三菱一号館美術館、アーティゾン美術館など東京を代表するミュージアムが集まり、屈指のアートスポットを形成しています。これに「静嘉堂@丸の内」が加わり、上野や六本木に並ぶアートの中心地として、全国から多くのファンを集めることになりそうです。大いに賑わってほしいものです。
(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)