日本刀の歴史に燦然と輝く名工!特別展『名刀正宗と相模伝』から3振を徳川美術館の学芸員が解説

会場風景

徳川美術館(名古屋市)で7月18日(月)まで開催されている特別展「名刀正宗と相模伝」に出展されている名刀の中から3振の見どころを、同館学芸員の安藤香織さんに解説してもらいました。

銘が刻まれた 短刀 名物 不動正宗

正宗は、日本の刀剣の長い歴史の中に燦然さんぜんと輝く名工です。
鎌倉時代後期の相模国(今の神奈川県)で作刀し、明るく輝く地金に躍動的な刃文を焼いた美しい刀剣を作り上げました。現在でも正宗作と伝わる多数の刀剣がのこされていますが、実のところ、なかご(持ち手の部分)に銘の刻まれた作品は多くありません。
ここに紹介する「名物 不動正宗」は、銘があり、かつ出来栄えも優れた刀剣として高く評価されています。変化に富む刃文のみならず、地肌の部分に現れている多様な模様や、刀身に施された不動明王の彫刻、そして銘など、様々な角度から堪能したい名刀です。

短刀 銘 正宗 名物 不動正宗(重要文化財、徳川美術館蔵)

本阿弥家のお墨付き 刀 名物 池田正宗

正宗の刀剣は、時代を追うごとに評価が高まり、江戸時代初頭には将軍への最上級の献上品とみなされるに至りました。
しかし、銘のある正宗刀は世に多くありません。そこで活躍したのが刀剣鑑定の権威・本阿弥家です。
今回紹介する「名物 池田正宗」は鳥取藩主・池田長吉の所持した刀剣で、幅の広い豪壮な姿に、にえと呼ばれる粒子が多彩な輝きを放つ名品ですが、なかごが大幅に切り詰められており正宗の銘はありません。代わりに本阿弥家九代光徳による「正宗」との鑑定結果が刻まれています。
こうして鑑定家のお墨付きを得た刀剣が、政治外交の晴れ舞台で使われたのです。

刀 金象嵌銘 正宗磨上 本阿弥(花押) 名物 池田正宗(重要文化財、徳川美術館蔵)

徳川家に継承された「物吉」 脇指 名物 物吉貞宗

正宗の弟子・貞宗は、古くから正宗に次ぐ存在として高い評価を得ていました。
「名物 物吉貞宗」は、切先きっさきにかけて激しく変化する刃文や、にえの複雑な輝き、刀身彫刻など多彩な見どころがあり、貞宗の技量がよくわかる一振ひとふりです。
「物吉」の名は徳川家康が戦時に身に帯びると常に勝利したことに由来すると伝承されており、家康の没後は息子の尾張徳川家初代・義直へ譲られ、その後も同家の権威・権力を象徴する刀剣として歴代当主に継承されました。
このように大名家を代表する宝物に選ばれたのは、由緒はもちろん、刀剣としての高い品格があればこそ。ぜひご来館の上、本刀のもつ美しさや覇気を感じていただければ幸いです。

脇指(わきざし) 無銘 貞宗 名物 物吉貞宗 (重要文化財、徳川美術館蔵)
特別展 名刀正宗と相模伝
会場:徳川美術館(名古屋市東区徳川町1017)
会期:2022年5月28日 (土) ~ 7月18日 (月)
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日 ※ただし、7/18(月・祝)は開館
アクセス:JR「大曽根駅」より徒歩約10分
入館料:一般1,400円、高・大生700円、小・中生500円
蓬左文庫観覧料(企画展「大名の冠・婚・葬・祭」を開催)を含む
詳しくは、徳川美術館HP(https://www.tokugawa-art-museum.jp/)へ

 

本展のチケットを美術展ナビの読者にプレゼントします(6月28日〆切り)

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