【プレビュー】北斎が描いた「鬼」、貴重な肉筆画を展示――特別展「北斎 百鬼見参」 すみだ北斎美術館で6月21日から

特別展「北斎 百鬼見参」 |
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会場:すみだ北斎美術館(東京都墨田区亀沢2-7-2) |
会期:2022年6月21日(火)~8月28日(日) ※前期(~7月24日)、後期(7月26日~)あり。 |
休館日:月曜休館、ただし7月18日は開館し、19日を休館 |
アクセス:JR両国駅東口から徒歩9分、都営地下鉄大江戸線両国駅A3出口から徒歩5分 |
観覧料:一般1200円、高校生・大学生900円、65歳以上900円、中学生400円、障がい者400円、小学生以下無料 |
詳細情報はホームページ(https://hokusai-museum.jp/)で確認を。 |
世界で最も有名な浮世絵師・葛飾北斎。風景画から花鳥画、美人画まで、その画業は多彩であり、作品数も膨大である。そんな鬼才・北斎がどのように「鬼」を捉え、表現してきたか。そこに注目したのが、今回の展覧会だ。多作で知られる北斎だが、実は鬼を描いた「肉筆画」は数が少ないのだという。この展覧会ではそういう「鬼」の「肉筆画」3点を展示、なかでも「道成寺図」は修復後、初公開となる。


「鬼」の「肉筆画」は、「着衣鬼図」、「念仏鬼図」、「道成寺図」の3点。「着衣鬼図」が前期、「念仏鬼図」が後期に展示され、「道成寺図」は修復された実物が前期、高精細複製画(プリマグラフィ)が後期に展示される。「着衣鬼図」と「念仏鬼図」は僧衣をまとった赤鬼を描いた大津絵風の味わいがあるちょっとユーモラスな作品。「道成寺図」は能楽の「道成寺」を題材にしたもので、シテがシテ柱に絡みつく「柱巻き」が描かれている。能楽の舞台そのものを描いた北斎の肉筆画は現在まで他に確認されていないという。

展覧会全体は、「鬼とは何か」、「鬼になった人、鬼にあった人」、「神話・物語のなかの鬼」、「親しまれる鬼」の4章で構成される。第1章では「鬼」という言葉が何を指すのか。江戸時代の人々はこの言葉から何を連想し、それをどう捉えたのかがテーマ。第2章では「鬼」にまつわる日本史のエピソードを題材にした作品が中心となる。


第3章は神話や物語に登場する鬼に焦点を当てる。恐ろしい鬼、強い鬼から哀しい鬼まで、様々な鬼の様相を紹介する。江戸時代、「鬼」はただ怖がられるだけでなく、魔除けの鬼瓦などを通じて日常生活の中で親しまれる存在でもあった。第4章で描かれるのは、そんな身近な鬼、ちょっとユーモラスな鬼の姿。それぞれの章で、浮世絵版画や肉筆画、版本など、幅広い作品が紹介される。

(読売新聞美術展ナビ編集班)