「炭都」の歴史を探訪するトリックアートに新作4点が登場 福岡・田川市の中心商店街に

後藤寺商店街入り口にお目見えしたトリックアート「人情あふれる、こころのふるさと『商店街』」。扉の向こうは同じ場所の約60年前の風景だ

目の錯覚を利用して平面の絵を立体的に見せる「トリックアート」のある街づくりを進める福岡県田川市が、新たに市内4か所に作品を設けました。今回は「炭鉱」をテーマに、旧産炭地ならではの文化や風景を表現しています。市は「ひと味違う町歩きを楽しみ、田川の『炭鉱文化』への理解も深めてもらえれば」と期待しています。

伊田・後藤寺商店街に2点ずつ

今回新設されたのは市中心部の伊田、後藤寺両商店街のアーケード内で、3月に2か所ずつお目見えしました。

伊田の作品タイトルは<1>数々の銘菓を生んだ炭坑時代の「菓子文化」<2>美味(おい)しくて栄養満点! ソウルフード「ホルモン鍋」、後藤寺は<3>人情あふれる、こころのふるさと「商店街」<4>田川が誇る二つの宝「黒ダイヤ 白ダイヤ」――となっています。

「田川が誇る二つの宝『黒ダイヤ 白ダイヤ』」(提供:田川市)

このうち<1>は絵画の人物が石炭を模した地元銘菓のようかん「黒ダイヤ」を差し出し、<3>はドアの向こう側が「炭都」と呼ばれていた昭和期のにぎやかな商店街につながっているなど、いずれもユニークな作品です。

「数々の銘菓を生んだ炭坑時代の『菓子文化』」(提供:田川市)

各作品のそばには解説の案内板もあり、甘いものを好んだ炭鉱マンが贈答品として菓子を重宝した文化や、活気と人情を育んだ商店街の歴史などを知ることができます。総事業費は約860万円で、全額を観光庁の補助金で賄いました。

「何だろう?」から知る歴史

 市によると今回4か所が加わった効果で、昨年春に初めて駅の連絡通路や公園など5か所に設けたトリックアートを楽しむ人も増えているとみられます。5か所の案内板にはAR(拡張現実)動画を見ることができるORコードが用意されていますが、3月の読み込み回数は約200回と前月の2倍になったといいます。

伊田商店街にある「美味しくて栄養満点! ソウルフード『ホルモン鍋』」。逆さの視点では人が具材になっているように見える

福岡県立大(田川市)に福岡市内から通学する1年の室井涼太さんは4月上旬、伊田商店街に足を運んだ際、巨大な箸とご当地グルメ「ホルモン鍋」が描かれたトリックアートの前を通りかかり、スマートフォンのカメラを向けました。「『何だろう?』と思わせる面白さがある。9か所すべてを回りたくなった」と話していました。

(読売新聞筑豊支局田川駐在記者・興膳邦央)

福岡ふかぼりメディア「ささっとー」(5月12日公開)の記事を再掲。

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