【開幕】「見る」を問う 現代美術の巨匠、60年の画業を一堂に 「ゲルハルト・リヒター展」 東京国立近代美術館で10月2日まで

©Gerhard Richter 2022(07062022)

開幕前日の内覧会を取材しました

6月7日(火)から東京国立近代美術館(東京・竹橋)ではじまる「ゲルハルト・リヒター展」。あいにくの雨模様でも、注目度の高さを示すように内覧会は大勢の関係者で賑わっていました。

現代美術を代表するドイツ生まれの巨匠、ゲルハルト・リヒター(1932~)。大型で力強さのある作品はもちろん見応えありますが、これに加えてガラスや鏡の作品があちこち配置され、否応なく「見ている自分を見る」体験が興味深いです。「見る」という営みに自覚的になる展示です。

ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》2014年 油彩、キャンパス ゲルハルト・リヒター財団 ©Gerhard Richter 2022(07062022)

《ビルケナウ》はホロコーストを主題にした重要作品。横に巨大な鏡があり、常に「作品を見ている自分」と対峙させられます。真向いには同作の写真ヴァージョンも配置されており、これも「あなたにとって作品を鑑賞する」とは?という問いかけのように感じます。

©Gerhard Richter 2022(07062022)
ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ(写真ヴァージョン)》2015~2019年 ジクレープリント、アクリル(ディアセック)、4枚のパネル ゲルハルト・リヒター財団 ©Gerhard Richter 2022(07062022)

内覧会の記者説明会では、同展開催にあたって、リヒターが自ら作成した展示室の模型が紹介されました。「どのように見てもらうか」ということに、リヒターがとても注意を払っていることが分かります。

会場の中央には8枚のガラスによる作品。自分や他者、作品が様々な形で映り込みます。

ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス》2012年 8枚のアンテリオ・ガラス、スチール ワコウ・ワークス・オブ・アート ©Gerhard Richter 2022(07062022)
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幅10メートルの巨大な作品《ストリップ》も、向かいのガラスの作品《アンテリオ・ガラス》を通じて見るとまた違って見えます。

ゲルハルト・リヒター《ストリップ》2013~2016年 デジタルプリント、アルディボンド、アクリル(ディアセック) ゲルハルト・リヒター財団 ©Gerhard Richter 2022(07062022)
ゲルハルト・リヒター《アンテリオ・ガラス》2002年 ガラス、スチール ゲルハルト・リヒター財団 ©Gerhard Richter 2022(07062022)

作家のキャラクターや感情は、それほど伺わせない作品群ですが、長男を描いた作品《モーリッツ》など彼の暮らしを垣間見せるものもあり、興味深いです。

ゲルハルト・リヒター《モーリッツ》2000/2001/2019年 油彩、キャンバス 作家蔵 ©Gerhard Richter 2022(07062022)
©Gerhard Richter 2022(07062022)

近年、繰り返し描いているドローイングも多数見ることができます。

リヒターが90歳を迎えた2022年。日本では16年ぶり、東京では初となる美術館での大規模個展。リヒターが手元に置いてきた作品を中心とした約120点で、国内では最大規模です。グッズもスタイリッシュです。一見、難解なようで意外なほど間口が広く、思い思いに楽しめる展覧会。貴重な機会、いかがでしょう。

東京国立近代美術館の「ゲルハルト・リヒター展」は10月2日(日)まで。その後、豊田市美術館(愛知)に巡回し、10月15日から。詳しくはプレビュー記事をご覧ください。

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

ゲルハルト・リヒター展
会場:東京国立近代美術館
会期:2022年6月7日(火)~2022年10月2日(日)
休館日:月曜日[ただし9月19日(月・祝)、26日(月)は開館]、9月27日(火)
(当初休館とされていた9月20日(火)は開館し、開館とされていた27日(火)が休館)
開館時間:10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00)
※ただし、9月25日(日)~10月1日(土)(27日をのぞく)は10:00-20:00
※入館は閉館30分前まで
アクセス:東京メトロ東西線「竹橋駅」1b 出口 徒歩3分
観覧料:一般 2,200円/大学生 1,200円/高校生 700円
詳しくはhttps://richter.exhibit.jp/へ。

リヒター展のレビュー記事


音声ガイドは鈴木京香さん


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