700年 舞いつながれた奥三河の神楽「花祭」 2度の中止を乗り越えて6月11日に国立劇場で披露

榊鬼(さかきおに)

名古屋など濃尾平野のイメージが強い愛知県だが、その北東部には深い山々が広がる「奥三河地方」がある。なかでも標高の高い御園みその地区(東栄町)では、独自の神楽「花祭はなまつり」がおよそ700年にわたり綿々と伝えられている。

おさんど・巫女

日本の芸能の源流ともいえるこの「花祭―奥三河の霜月神楽―」が、6月11日(土)、東京の国立劇場で披露される。もともと2020年に開催が予定されていたが、コロナ禍で20年、21年と相次ぎ中止。2度の中止を乗り越えて、今回の上演となる。通常は公開されない秘儀も特別に公開される。

御園の雲海

「花祭」は基本的に毎年11月の第2土曜日に、東栄町で最も標高の高い集落・御園地区の各所で行われる。太陽の力が一番なえる時期に八百万の神々を勧請かんじょうし、その力を復活させて無病息災や豊作を祈念するもので、奥三河の険しい山で修行を積んだ修験者からもたらされたと言われている。

まさかりを振りかざした鬼が釜を割る所作をする「山見鬼」
釜に聖なる湯を沸かす神事「お湯立て」
煮えたぎった釜の湯を舞手が四方にまき散らしながら舞う「湯ばやし」

厳寒の時期に、舞庭まいどと呼ばれる土間で、湯釜を中心として、休むことなく一昼夜かけて様々な舞が繰り広げられる「花祭」。国立劇場の公演では、祭礼の全体を2公演(それぞれ入場料金が必要)に分けて、ほぼひと通りの流れを見ることができる。(写真 大村光弘・杉浦清孝)

国立劇場 令和4年6月民俗芸能公演 「花祭 ―奥三河の霜月神楽―」
2022年6月11日(土)午前11時開演/午後2時開演
会場:国立劇場(小劇場)(東京都千代田区隼町4-1)
入場料金:(各回) 全席指定4,200円、 学生2,900円
問い合わせ 国立劇場チケットセンター 0570-07-9900(午前10時~午後6時、一部IP電話などは03-3230-3000
詳しくは国立劇場のHP

(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)