週末いきたい!展示替えした展覧会3つリピートしてきました

今週の「週末いきたい」は展示替えがテーマです。実際に3つの展覧会をリピートしてきました。
「SHIBUYAで仏教美術」渋谷区立松濤美術館
渋谷区立松濤美術館の「SHIBUYAで仏教美術ー奈良国立博物館コレクションより」の後期をリピートしました。リピート割があり、前回のチケットを提示すると通常1000円が800円になりました。
目玉は国宝の「辟邪絵」。全5幅を前期に3幅、後期に2幅展示ですが、後期の「神虫」はすごいインパクトでした。
国宝《辟邪絵》の全5幅の内、《鍾馗》《神虫》の2幅の展示が始まりました。
もともと5幅は1巻の巻物になっており、戦前は三井財閥の重鎮、益田鈍翁の所蔵品でした。戦後に5幅の掛物に改装されました。
「辟邪」とは中国語で魔除けの意味。疫病を広める悪鬼を善神たちが退治する様を描いています。 pic.twitter.com/J2iJwaMu65— 渋谷区立松濤美術館【公式】 (@shoto_museum) May 10, 2022
前期は上巻だった「泣不動縁起」の下巻がとても劇的な展開でした。下の公式のツイートの絵の続きは、(なぜかウサギの絵を挟んで)後ろ手に縛られた不動明王が獄卒に閻魔の前に引っ立てられ、そこから地獄側が取った対応は?!と、すごいテンションでドラマが進みます。これは面白い!
泣不動縁起の上巻では、僧侶である智興の病の身代わりを弟子の証空が引き受けました。
下巻では、病に苦しむ証空を憐れんだ不動明王が病を引き受けてくれます。画中の不動明王の絵が涙し、はらりと壇上に落ちる様子は、証空への不動の利益を表現しています。智興も証空も無事に快癒しました。 pic.twitter.com/Q6uPdiX1I9— 渋谷区立松濤美術館【公式】 (@shoto_museum) May 12, 2022
初めての人も、一度見た人も、後期の来訪をオススメします。5月29日まで、週末と最終週は予約制です。小説家・永井紗耶子さんの「探訪」を読むとさらに展示を楽しめますよ。
デビュー50周年記念 くらもちふさこ展 弥生美術館
弥生美術館(東京・文京区)で開催中の「デビュー50周年記念 くらもちふさこ展」は5月29日(日)の閉幕まで2週間足らずとなり、会場は熱心なファンで賑わっていました。4回も!異なる展示が楽しめる同展。4回中3回目のリピートです。
「おしゃべり階段」「いつもポケットにショパン」「東京のカサノバ」「千花ちゃんちはふつう」「海の天辺」「天然コケッコー」「花に染む」など展示替えされた名作の原画を味わえます。改めてその繊細なタッチに惚れ惚れします。
半世紀にわたり、少女マンガの新たな表現を生み出し続けたくらもちさん。その足跡を振り返る貴重な機会をお見逃しなく。
これほど見事な作品ばかりでも「自分の絵に満足したことがない」と話すくらもち先生のインタビューもご覧ください。
最澄と天台宗のすべて 京都国立博物館
特別展「最澄と天台宗のすべて」は京都国立博物館で今週日曜の22日までの開催。最終週にリピートしました。後期展示では、いずれも最澄の筆跡が残る国宝「伝教大師入唐牒」(延暦寺蔵)と国宝「弘法大師請来目録」(教王護国寺(東寺)蔵)がすぐ隣に並んで展示されていました。延暦寺と東寺の国宝が同じところに並び、最澄の筆跡を見比べられる!またとない機会に感激。ほかにも後期展示だけの国宝「釈迦金棺出現図」(京都国立博物館蔵)など、見どころ満載の展覧会です。その豪華なラインアップは下のレビュー記事も参考にしてください。
(読売新聞美術展ナビ編集班)