「ボストン美術館展 芸術×力」 オフィシャルサポーターに要潤さん 「明日への活力を与えてくれるアート」 東京都美術館で10月2日まで開催中

東京都美術館(上野公園)で7月23日に開幕する「ボストン美術館展 芸術×力」で、俳優の要潤さんがオフィシャルサポーターに就任しました。自ら油絵を描くなど、アートに強い関心を持つ要さんが「美術展ナビ」のインタビューに応じてくれました。要さんは「アートは明日への活力を与えてくれます。展覧会にぜひ足を運んでください」と熱く語ってくれました。(聞き手・読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志、撮影・青山謙太郎)

気持ちを満たしてくれるアート

Q 要さんといえば自ら絵筆を取って油絵を描くなど、アートに強い関心を持っていることで知られます。要さんにとってアートはどういう存在でしょう。

A 俳優という仕事柄、自分をすり減らして表現することがあります。内面が空っぽになることもあります。そういう時に美術館に足を運んだり、好きな絵を見たりすることで活力をもらえ、栄養を吸収して、気持ちが満たされて、仕事に戻る気持ちになれます。

Q 好きなアーティストや美術館がありますか。

A 日本人なら現代美術家の大巻伸嗣さんが好きです。以前から現代アートに関心があります。時間があれば都内の美術館もよく足を運びます。好きなのは箱根の「彫刻の森美術館」。屋外で彫刻を鑑賞する雰囲気が独特で、見応えがあります。もともと自然が好きで、自分の出身地である香川県にも、直島など自然とアートが一緒に味わえるおすすめのスポットがあります。

子ども心に「すごい」と感じた現代美術の魅力

Q 美術館に初めて行ったのは。

A 小学生のときで、地元の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(1991年11月オープン)だと思います。新しい施設ができて、住民がとても盛り上がっていたのを思い出します。

Q 猪熊弦一郎(※)さんの作品は一見、難解なようにも思えますね。

A よく分からないながらも、気持ちがかきたてられるというか、かきむしられるというか、初めての衝撃でした。「これはすごいなあ」と子ども心にも強く印象付けられました。

コロナ禍の変化の経験、大きな財産に

Q ボストン美術館展は2年前にコロナ禍の影響で中止になり、ようやく実現しました。要さんも仕事柄、コロナのダメージは大きかったと思うのですが、この間、どうやってモチベーションを維持してきましたか。

A コロナ禍で生活様式が変わったり、ムダがなくなったり、という変化もありました。もちろん、仕事がキャンセルになるなどネガティブな影響もありましたが、こうした事を経験できたのは大きな財産になったと思います。私たち俳優は、仕事が回ってきたときに、どれだけ以前の自分とは違うという「進化」を見せられるかが重要だと思うのです。この間、自分と向き合い、いろいろなことをインプットできたことを前向きにとらえたいと考えています。

「国宝級」、お見逃しなく!

Q ボストン美術館展への期待を聞かせてください。

A 市民の有志の努力によって維持されてきた素晴らしい美術館です。一度は行ってみたいと思っていたので、今回、オフィシャルサポーターのお話をいただいたのは不思議な縁だと感じました。日本の作品を大切にしてくれてきたことに感謝したいです。楽しみなのはやはり《吉備大臣入唐絵巻》と《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》です。日本にあれば国宝級という作品なので、じっくり拝見したいです。ファンの皆様もお見逃しないよう、楽しみにお待ちください。(おわり)

要潤(かなめ・じゅん):1981年2月21日、香川県出身。「新美の巨人たち」「連続テレビ小説まんぷく」等テレビ出演のほか、ドラマ、CM、映画など多数出演。うどん県(香川県)副知事を務めるなど幅広く活躍中。

猪熊弦一郎(いのくま・げんいちろう):1902年、香川県高松市生まれ。東京美術学校(現東京藝術大学)で藤島武二教室で学ぶ。1926年、帝展で初入選。1938年、フランスに遊学し、アンリ・マティスに学ぶ。1951年、上野駅の大壁画《自由》を制作など幅広く活躍。1955年から約20年間、ニューヨークを拠点に活動する。1993年、東京で死去。90歳。

ボストン美術館展 芸術×力(げいじゅつとちから)
会場:東京都美術館(東京・上野公園)
会期:2022年7月23日(土)~10月2日(日)
休室日:月曜日、9月20日(火) ※ただし9月19日(月・祝)は開室
アクセス:JR上野駅公園口から徒歩7分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅から徒歩10分、京成電鉄京成上野駅から徒歩10分
観覧料 一般 2,000円/大学生・専門学校生 1,300円/65歳以上 1,400円 (日時指定予約)
高校生以下無料(日時指定予約必要)。未就学児は日時指定予約不要
詳しくは公式HP(https://www.ntv.co.jp/boston2022/)で