【プレビュー】武士たちの栄枯盛衰を浮世絵で――「源平合戦から鎌倉へ ―清盛・義経・頼朝」展 太田記念美術館で7月1日開幕

歌川国芳《牛若鞍馬修行図》

源平合戦から鎌倉へ ―清盛・義経・頼朝
会場:太田記念美術館(東京都渋谷区神宮前1-10-10)
会期:2022年7月1日(金)~7月24日(日)
休館日:月曜日、ただし7月18日は開館し、19日が休館
アクセス:JR山手線原宿駅から徒歩5分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅から徒歩3分
入館料:一般800円、高校生・大学生600円、中学生以下無料
※最新情報は、公式HP(http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/)で確認を。問い合わせはハローダイヤル(050-5541-8600)へ。

平安時代末期に起きた治承・寿永の乱(1180~85)は「源平合戦」と呼ばれる。平家と源氏、武士たちによる一族の存亡をかけた戦いのエピソードは『平家物語』などの軍記物によって、一般にも広く知られるようになった。江戸時代には小説や歌舞伎狂言の題材になり、浮世絵でも人気のモチーフになった。今回の展覧会では、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」などで再び注目を浴びているこの時代を取り上げ、浮世絵を通して平清盛、源義経、源頼朝らをはじめとする武士たちの栄枯盛衰の跡をたどる。

歌川芳員《大物浦難風之図》

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす――。あまりにも有名な一節で始まる「平家物語」。「平家にあらずんば人にあらず」といわれるまでの栄華を誇りながら、急速に没落していった平家一門。戦いで華々しい成果を挙げながら兄・頼朝の不興を買い、非業の死を遂げた源義経……。浮世絵に描かれる武将たちの姿から浮かびあがってくるのは、運命に翻弄される人間の弱さ、はかなさだ。華々しい栄光と隣り合わせの悲劇。明暗様々な人間模様がそこには現れている。

水野年方《寂光院》
月岡芳年《俊寛僧都於鬼界嶋遇々康頼之赦免羨慕帰都之図》

『俊寛』『義経千本桜』『景清』などの歌舞伎狂言で、その物語は江戸の庶民にもなじみの深いものだっただろう。浮世絵にも、そんな「名場面」が描き出されている。孤島にひとり残された俊寛の嘆き、義経と弁慶の出会いと主従の絆。観る人の心をかき乱し、涙を誘ったエピソードの数々。それらがどのように描写されているのか、実際の舞台と比べてみるのも面白いだろう。

歌川芳虎《西海蜑女水底ニ入テ平家ノ一族ニ見》

武者絵の第一人者だった国芳は、源平時代を題材にした絵も多い。親しみやすく迫力たっぷりのその筆致は魅力たっぷりだ。その流れを引き継いだのが、歌川芳虎、月岡芳年やその弟子の水野年方ら一門の絵師たち。中でも芳年は、幕末から明治期にかけて独特のリアルなタッチで数多くの作品を残した。このほか、風景画で有名な歌川広重のどこかのどかな作品など、個性豊かな絵師たちによるバラエティーに富んだ作品が楽しめる。

歌川国芳「木曽街道六十九次之内 御嶽 悪七兵衛景清」
歌川広重「童戯武者尽 源三位・熊谷」

注目の作品は、月岡芳年の《大日本名将鑑 右大将源頼朝》。大きく羽根を広げて空へ飛び立つ鶴の群れ。それを見守る頼朝と近習たち。壇ノ浦の戦いで平家が滅びて2年後、文治3年(1187)8月に鶴岡八幡宮で頼朝が行った放生会。吉祥の象徴である鶴を眺めながら満足そう表情を浮かべる頼朝の姿が印象的な一枚だ。

月岡芳年「大日本名将鑑 右大将源頼朝」

(読売新聞美術展ナビ編集班)

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