【プレビュー】仙厓さんが6年ぶりに帰って来る! 「仙厓ワールドーまた来て笑って!仙厓さんのZen Zen 禅画ー」 永青文庫で5月21日開幕

仙厓義梵 「龍虎図」 江戸時代後期(19世紀) 【前期展示】 永青文庫蔵

令和4年度初夏展 仙厓ワールド―また来て笑って!仙厓さんのZen Zen 禅画―
会場:永青文庫(東京都文京区目白台)
会期:2022年5月21日(土)~7月18日(月・祝)※前・後期で大幅な展示替えをします。
※[前期]5月21日(土)~6月19日(日)[後期]6月22日(水)~7月18日(月・祝)
休館日:毎週月曜日(ただし7月18日は開館)、6月21日(火)
開館時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)
アクセス:JR目白駅(「目白駅前」バス停)、副都心線雑司が谷駅出口3(「鬼子母神前」バス停)より、都営バス「白61 新宿駅西口」行きにて「目白台3丁目」下車徒歩5分
入館料:一般1,000円、シニア(70歳以上)800円、大学・高校生500円
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方及びその介助者(1名)は無料。
詳しくは同館ホームページへ。

禅画コレクションの柱

江戸時代後期の禅僧・仙厓義梵(せんがいぎぼん)(1750~1837)は、ユーモアに富んだ書画を残し、禅の教えを広く伝えたことで知られています。永青文庫には設立者の細川護立(細川家16代、1883~1970)が集めた仙厓の作品、100点以上が所蔵されており、江戸時代中期の禅僧・白隠慧鶴(はくいんえかく)(1685~1768)の書画とともに、同館の禅画コレクションの重要な柱となっています。その全容は2016年に開催された秋冬季展「仙厓ワールド!ー来て見て笑って!仙厓さんのゆるカワ絵画ー」で初めて公開され、話題を呼びました。

仙厓義梵 「虎図」 江戸時代後期(19世紀) 永青文庫蔵

人気投票も開催

第2弾となる今回は、選りすぐりの仙厓作品に加えて、兄弟子にあたる誠拙周樗(せいせつしゅうちょ)(1745~1820)など、仙厓周辺の禅僧による書画をあわせて展示し、これまでほとんど取り上げる機会のなかった同館の禅画コレクションの一端を紹介します。さらに禅画への理解と親しみを深めるため、画題を解説するコーナーを設けるほか、作品の人気投票も開催。仙厓が人々にやさしく説いた禅の世界を楽しめます。

仙厓義梵 「臨済図」 江戸時代後期(19世紀) 永青文庫蔵

「厓画無法」を標榜

仙厓は寛延3年(1750)に美濃(現・岐阜県)に生まれました。11歳で得度し、義梵と名付けられました。武蔵国永田(現・横浜市)の東輝庵で修行を積んだのち、諸国を行脚。40歳のときに聖福寺(福岡市)の第123世住職となり、20年以上にわたり同寺の復興と弟子の育成に努めました。住職を引退した62歳から本格的に書画をはじめ、73歳で「厓画無法」(世の中の絵には法があるが、自分の絵には法がない)を標ぼう。書画の依頼が絶えなかったことから、83歳の時には「絶筆の碑」を建立するほどでしたが、かえって依頼が増えてしまい、天保8年(1837)に88歳で亡くなるまで、筆を折ることはありませんでした。

仙厓義梵 「野雪隠図」 江戸時代後期(19世紀) 【後期展示】 永青文庫蔵

画題は多彩

「禅画」とは、江戸時代以降の禅僧が描いた絵画のことをいいます。その画題は禅僧の始祖・達磨図、各宗派の重要な僧を描いた祖師図、禅の修行や悟りの瞬間などを絵にした禅機図、釈迦図や観音図といった仏画、布袋をはじめとする福神図のほか、風景画、動物や植物を描いたもの、市井の人々を題材にしたものまで実に様々。特に白隠と仙厓は幅広い画題を手がけました。

仙厓義梵 「七福神図」 江戸時代後期(19世紀) 【前期展示】 永青文庫蔵
仙厓義梵 「鍾馗図」 江戸時代後期(19世紀) 【前期展示】 永青文庫蔵
誠拙周樗 「一つ目小僧図」 江戸時代後期(18世紀末~19世紀) 永青文庫蔵
仙厓義梵 「人形売り図」 江戸時代後期(19世紀) 【後期展示】 永青文庫蔵

今回は仙厓の初期から晩年までの作品を展示。見る者の笑いを誘い、やさしく禅の教えへと導く仙厓ワールドをたっぷり楽しんでもらいます。

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)