【開幕】最後は拍手万雷!「義経千本桜」国立劇場の「5月文楽公演」で

『義経千本桜』河連法眼館の段 源九郎狐:桐竹勘十郎 (国立劇場提供)

国立劇場(東京・半蔵門)の5月文楽公演が5月7日から24日まで行われています。午前から始まる第1部の演目は「義経千本桜」です。人形とは思えないリアルな動きと人間にはできないアクロバチックな動きの両方を存分に楽しめ、エキセントリックな義経や、かわいくて妖しい狐など個性的なキャラクターが躍動。初めての文楽にもぴったりの演目でした。

頼朝に追われる義経と追いかける静御前

『義経千本桜』伏見稲荷の段 (左)静御前:吉田簑二郎 (右)九郎判官源義経:吉田玉助 (国立劇場提供)

『義経千本桜』は、「伏見稲荷の段」からスタート。平家滅亡の立役者から一転、兄の頼朝に追われる身となった義経は京都を脱出しようとします。一緒に連れて行ってとすがりつく静御前。そこに現れた武蔵坊弁慶に対して、義経は理不尽にキレてみせます。「えっ?なんで?」と思う対応ですが、大河ドラマの義経を見ているので、妙に納得。

白拍子と人ならぬモノの舞いの競演

『義経千本桜』道行初音旅 (左)忠信:桐竹勘十郎 (右)静御前:吉田簑二郎 (国立劇場提供)

続く、「道行初音旅の段」では、吉野に潜んでいる義経に会うため、静御前と義経の臣下の佐藤忠信が旅をします。白拍子の静御前と実は狐が変装している忠信の2人のダンスは、人間を超えるキレキレの動きの数々で見事です。

最後の最後も圧巻!拍手万雷

『義経千本桜』河連法眼館の段 源九郎狐:桐竹勘十郎 (国立劇場提供)

クライマックスの「河連法眼館の段」では、またしても義経の理不尽なキレっぷりに驚きましたが、主役は狐です。人間には真似できない動物ならではの激しい動きが続きます。最後は、平安時代の吉野の千本桜で繰り広げられた歴史幻想絵巻を、現代の観客があたかもドローンから見ているような、驚きの演出で締められます。観客席からものすごい拍手が巻き起こりました。

【公演日程】

5月7日(土)~5月24日(火) *12日(木)は休演

第1部(午前11時開演) 義経千本桜

第2部(午後2時30分開演) 競伊勢物語

第3部(午後5時45分開演) 桂川連理柵

観劇料 1等席 7,000円 2等席 6,000円(各部ごとに観劇料が必要)

会場:国立劇場(東京・半蔵門)

詳しくは国立劇場のホームページ(https://www.ntj.jac.go.jp/kokuritsu.html)へ。

(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)