【プレビュー】「平山郁夫が描いた「奥の細道」-松尾芭蕉がみた石巻-」石巻市博物館で5月20日から

平山郁夫《金華山の朝陽 》1997年 素描 朝日生命保険相互会社蔵

「平山郁夫が描いた「奥の細道」-松尾芭蕉がみた石巻-」
会場:石巻市博物館 (宮城県石巻市開成1-8、「マルホンまきあーとテラス内」)
会期:2022年5月20日(金)~6月26日(日)
休館日:月曜日
入館料:一般800円/高校生500円/小中学生300円 ※常設展も観覧可
詳しくは同施設のサイトへ。

「奥の細道」シリーズ全作品を展示

シルクロードの画家として知られる平山郁夫(1930~2009年)は、円熟期に日本の「路」を題材とした素描シリーズに取り組み、日本各地を旅しました。

今回の展覧会では、島からのぼる荘厳な朝日を描いた名作「金華山の朝陽」をはじめとする、東北の聖地を描いた「奥の細道」シリーズの全作品(7点)を展示。さらに「平泉」シリーズ7点のうち3点も展示します。

平山郁夫《金華山 黄金山神社本殿》1997年 素描 朝日生命保険相互会蔵

「奥の細道」シリーズや「平泉」シリーズの代表作にはもととなる現地でのスケッチが存在しており、会場では、素描作品やスケッチと比較することができます。

平山郁夫「スケッチブック」 平山郁夫シルクロード美術館蔵
平山郁夫「スケッチブック」 平山郁夫シルクロード美術館蔵

戦時中、広島で被爆した平山は原爆症に苦しみました。そんな中、青森県の奥入瀬渓谷でのスケッチ旅行で、その水と森の美しさから「生きる喜び」を教えられたといいます。

その感動を受けて制作に取り組んだ「流水間断無(奥入瀬渓谷)」は、その地に最初に訪れてから35年もの年月をかけて制作。東北の生命感溢れる、六曲一双の大作です。

平山郁夫《流水間断無 (奥入瀬渓流)》部分 1994年 本画  平山郁夫シルクロード美術館蔵

平山がシルクロードへの憧れから描いた「鄯善国妃子(楼蘭の王女)」と「西域の馬」。展覧会では初めて、一対の作品として展示されます。

平山郁夫《鄯善国妃子(楼蘭の王女)》1976年 本画 箱根・芦ノ湖 成川美術館蔵
平山郁夫《西域の馬》1978年 本画  鎌倉・高徳院蔵

また、平山作品ではありませんが、同館の「毛利コレクション」から「牡鹿郡石巻全景眺望図」(19世紀)が初公開されます。松尾芭蕉が「おくのほそ道」にも記した、当時の石巻の賑わいや町並みを楽しむことができます。

「牡鹿郡石巻全景眺望図 」石巻市博物館蔵

石巻市博物館の常設展示については、下の記事で詳しくレポートしています。

(読売新聞デジタルコンテンツ部)