【開幕】ウィリアム・ケントリッジの名プロダクションが再び 新国立劇場「魔笛」 4月16日から5回公演で

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

現代アートの巨匠、ウィリアム・ケントリッジの名プロダクションとして知られるモーツァルトの「魔笛」が、再び舞台に戻ってきました。新国立劇場(東京・初台)で4月16日(土)から24日(日)まで5回公演で再演されます。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

ウィリアム・ケントリッジ(1955-)は南アフリカ出身の現代美術家。素描をコマ撮りした手描きのアニメーション作品で知られます。オペラ演出でも著名で、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場やザルツブルク音楽祭など世界を代表する舞台で活躍。新国立劇場の「魔笛」は2018/19年シーズンの幕開けを飾り、高い評価を受けました。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

「魔笛」はモーツァルトが最後に完成させたオペラで、モーツァルトの最高傑作との呼び声も高い名作です。多義的で象徴性の高い音楽とストーリーながら、全体としては「光」が「闇」に、知性が暴力に打ち勝つという啓蒙思想の流れで理解されることが多いです。ケントリッジの演出はそこに植民地主義の文脈も導入し、モーツァルトの描こうとした世界の深さを教えてくれます。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場
撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

「魔笛」はとりわけ名曲の宝庫として知られます。夜の女王の超絶技巧アリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」をはじめ、「おいらは鳥刺し」「パ・パ・パ」など、だれもがどこかで耳にしたことのあるメロディーが洪水のように舞台から流れてきます。とてもシンプルなのに、聞き飽きることがないその巧みな表現に、モーツァルトの天才が遺憾なく発揮されています。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場
撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場
撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

キャストも充実しています。パミーナの砂川涼子さん、夜の女王の安井陽子さんなど日本を代表するスター歌手の美声を楽しめます。素朴で温かみがあり、かわいいアニメーション画像が常に舞台を彩り、目も耳も飽きることがありません。お子さんのオペラデビューにもおすすめです。春のお出かけにいかがでしょう。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

【公演日程】

4月16日(土)14時

4月18日(月)18時30分

4月20日(水)14時

4月23日(土)14時

4月24日(日)14時

会場:新国立劇場(東京・初台、京王新線「初台」駅中央口直結)

詳しくは新国立劇場のホームページ(https://www.nntt.jac.go.jp/)へ。

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)